フルールドラパン
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なくココアの友人だった。
こちらを見てくれないココア。だが、こういう時のココアの惹きつけ方を、可奈美は心得ていた。
「お姉ちゃ〜ん! 助けて!」
「はあああああい?」
お姉ちゃんの一言で、ココアは凄まじい笑顔でこちらに飛んできた。その勢いに、ココアの友人が驚いて「ギャアアアア!」と悲鳴を上げた。
「お姉ちゃん、ここ、何て読むの?」
「うふふ。可奈美ちゃん。ここは……」
「フルールドラパンへようこそ、お客様」
ココアの解説を、金髪の店員が奪っていった。
ニッコリとした営業スマイルの店員。まさにメイドといった白黒の衣装に身を包んだ彼女は、慣れた手つきで可奈美を店内へ案内した。
「こちらは初めてですか?」
「はい! ココアちゃんの……お姉ちゃんの紹介です!」
「お姉ちゃん……」
すると、店員は呆れた表情をココアへ向けた。
「ココア……アンタ、この子にまでお姉ちゃんって呼ばせてるの?」
「えへへ……」
「褒めてない!」
店員がココアへツッコミを入れる。
そんなやり取りを続けている二人だが、可奈美の目線はやがて店員の頭部に移っていく。
「ねえっ! そのヘッドドレス可愛い!」
「ああ、これですか? これは店長の趣味で……」
可奈美の目線は、次に店員の顔に降りていく。
やはり、お嬢様のような金髪。人形のような可愛らしさに、可奈美は思わず持って帰ってしまいたいという衝動に駆られた。
「ねえ、確か前クリスマスの時に会ったことあるよね? 私、衛藤可奈美。前は自己紹介できなかったよね」
すると、店員は足を止め、目を細めて可奈美を見つめた。
「ああ! ケーキをものすっごく大胆に切ろうとした人!」
「ああ……そういえば、そんなこともあったっけ……?」
可奈美は少し遠い目をしながら呟いた。
店員は咳払いをして、
「ああ、そうそう。自己紹介だったわね。桐間紗路よ。これからいろいろあると思うけど、よろしくね」
「うん!」
今度は営業スマイルではない笑顔を見せた、シャロ。
彼女はそのまま、可奈美を店内へ案内していく。
そのまま後に続く、美炎、コヒメ。ココアに続いて、座席に付いた。
「あ、あの……っ!」
遅れて席に座った清香が、目をキラキラとさせながら、シャロへ近づいた。
「ここって、もしかしてあのハーブの取扱数が日本有数のあのフルールドラパンですか!? 見滝原って名前を聞いた時から一度来てみたいと思っていたんです!」
「近い近いですお客様!」
これまでの会話からは想像できないほど饒舌になる清香。彼女はそのまま、ぐいぐいとシャロへ顔を近づけていく。
そのまま、清香がシャロへ詰め入るのを
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