第六十六話 好き嫌いその二十二
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「だから今の私がいるのよ」
「誰でもそうですね」
「ええ、いい人達がいてくれてね」
「僕にもそうした人がいます、ただ」
ここでこうも言うのが粟野君でした。
「僕は悪い人達にも会ってきていますからね」
「それで嫌いな人は全力でずっと嫌うのね」
「そうなったと思います」
「阿波野君は好きな人はすごく好きだけれどね」
もう絶対に悪口は言わなくて褒めちぎります。
「けれどね」
「嫌いな人や対象は本当に嫌いになって止まらないですからね」
「口もきかないでしょ」
「会っても挨拶しないです」
「露骨に表情にも出すし」
顔がさっと変わります、嫌いな人のお話をする時とかは。
「よく言われます」
「本当にわかりやすいから」
好き嫌いがです。
「というか嫌いな相手には何しても平気ね」
「それで何を言っても」
「そういう態度が阿波野君の欠点だから」
もうどう見てもです。
「なおしていってね」
「難しくてもですね」
「そう、阿波野君自身にとってよくないから」
何しろ嫌いな相手に嫌いオーラを全開だからです、お話を聞いただけでこの人嫌いなのねってわかる位に。
「気をつけてなおして」
「そうしてですね」
「いいいんねんに変えていってね」
「僕には一番難しいことですね」
「それで執念深いし」
「そこも問題よ」
そのしつこさも気付きました。
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