夜は焼肉
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自分で何とかする。
そう思ったはずなのに、ハルトはそれが出来なくなってしまった。
この日、美炎、清香、そしてコヒメの三人は、ラビットハウスに泊まることになった。泊まるあてもない彼女たちのために、ハルトの部屋を貸すことになったのだ。
明日のシフトまで、一時的に部屋を開けたハルトは、結局知り合いの部屋で泊まることになった。
「ごめんね。いきなり押しかけてきて」
「いやあ、全然いいって。それより食え食え」
ハルトよりも一回り年上の青年。ウェーブがかかった茶髪の彼は、ハルトの前に皿を置いた。
昭和の香りが漂うちゃぶ台。青年___城戸真司が、フリーマーケットで安く買い叩いたものらしい。
そんな机の上に乗った油がたっぷり餃子の山に、ハルトは「うっ……」と呻き声を上げた。
「ハルトも、たまにはこっちに顔出せばいいのに。なあ、友奈ちゃん」
真司のその言葉に、ハルトの向かい側の少女は元気に頷いた。
「そうだよ! あ、結城友奈! 食べます!」
「おお! じゃんじゃん食え! 俺の餃子は格別だぜ?」
「わーい! 私、真司さんの餃子大好き!」
友奈と呼ばれた少女はそう言いながら、大きな口を開けて餃子を頬張る。
彼女の咀嚼のたびに、カリッと揚げられた餃子の表皮の音が響く。
「それで、その……コヒメちゃん、だったっけ? は何者なんだ?」
同じく席に着いた真司に対して、ハルトは頬杖をついた。
「荒魂っていう……可奈美ちゃんたち、刀使が退治している怪物の仲間なんだって。でも、コヒメちゃんみたいな知恵を持つ荒魂もいて、今回コヒメちゃんもそういうレアケースに該当するんだと」
「「ほ、ほー……?」」
真司と友奈は、揃って首を傾げた。どうやって説明したものかとハルトは頭を抱え、
「まあ要は、ドラグレッダーが言葉を話して人間みたいなこと喋るって思えばいいよ。ドラグレッダーの同類も、真司が関係してなかったら敵でしょ?」
「「なるほど!」」
「すっかり息ピッタリだな!」
ハルトは叫んで、ぐったりと力を抜いた。
「……ハルト、お前疲れてないか?」
「そう見える? そりゃそうだよ……」
ハルトは机に突っ伏した。
だが、そんなハルトの様子などにも構わず、左右から餃子の皮をかみ砕く音が聞こえてくる。真司も友奈も、ハルトの苦難など食事を遅めるに値しないらしい。
「それで、その……刀剣類管理局? に保護されていたんだけど、逃げ出したらしい。それで、そのまま行くと、美炎ちゃんたちの仲間たちにやられちゃうから、二人でコヒメちゃんを連れて逃げてきたんだってさ」
「なんで逃げだしたんだ?」
「さあ……? そこまではよくわかんないけど」
そう言
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