夜は焼肉
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いながら、ハルトは餃子を口に運ぶ。
口の中にパリッとした歯ごたえはあるものの、味は感じなかった。
「でも……いいのかな。人間みたいだけど、種別にしたら荒魂ってことでしょ?」
ハルトの脳裏に、自らが救えなかった人物の顔が思い起こされる。
病院で、目の前で怪物になる瞬間を止められなかった少女。
見滝原に来る前も、似たような事件があった。
そして……。
「管理できる環境があるなら、そっちに任せた方がいいんじゃないのかな……?」
「そもそも、何でその子のこと疑ってるんだ? 可奈美ちゃんだって、大丈夫だって言ってるんだろ?」
「良く言うよ……ここ最近の俺たちの環境を見て見てよ」
ハルトは口を尖らせた。
「以前会った怪しいピエロがトレギアだったんだ。もう、聖杯戦争の関係者じゃないかって勘繰るなって方が難しいよ」
聖杯戦争。
万能の聖杯が与えられる戦い。その参加のチケットは誰にでも与えられるわけではない。魔力が非常に高い人間、その中でも令呪と呼ばれる刻印が刻まれた者だけが参加できる。
そして、このところハルト達の前に現れるのは……
「もう……人間じゃない参加者ばっかりじゃん……!」
ハルトと親しくなった少女は、体に無理矢理他者の細胞を入れられ、怪物になった。
来訪した宇宙人は、令呪を手に入れ、史上最強の敵として立ちはだかった。
そして、先月。ただの悩める少女を利用した参加者もまた、人間の皮を被った悪魔だった。
ハルトは、右腕をぎゅっと抑えながら呟いた。
「あの子もまた……参加者になるんじゃないのか……?」
ハルトは、声を震わせながら言った。
真司と友奈は、それぞれ餃子への手を止めた。二人は、顔を見合わせ、
「心配する気持ちは分かるけど……なあ?」
「うん。それは……」
友奈はちゃぶ台から立ち上がり、ハルトの後ろに回り込んだ。
「私達の目的は、聖杯じゃない。聖杯戦争そのものを終わらせること。だよね?」
「そうだけど……」
ハルトの背中にぐっと友奈の両腕がのしかかる。腕を真っすぐ伸ばした彼女の体は、
「でもさ。終わらせることができたって、その時に生きている参加者が私達……あと、響ちゃんとコウスケさんだけじゃ意味ないでしょ?」
「ああ……」
「いい方に考えようよ。コヒメちゃん……人間じゃない参加者だって、説得できるかもしれないし。それに何より、可奈美ちゃんがいるんでしょ?」
「……」
「可奈美ちゃんも、そのことは心配していると思うよ。でも、大丈夫だって確信しているから、ハルトさんが外に出ても大丈夫だって言ったんだよ」
「だといいけど……」
「失礼するのじゃ」
その時。
ノックの音とともに、古びたドアが開けら
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