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ソードアート・オンライン〜ニ人目の双剣使い〜
雪解け
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レイヤー……そのプレイヤーが集まったギルドをレッドギルドって言うんだよ」

俺が答える前にアスナが答えた
ラフコフはレッドギルドの中でも最悪最強を誇ったギルドだ
俺もキリトもアスナもその討伐作戦に参加していた
そして俺はこの手で数人の命を奪った

「俺とザザはあの世界で文字通り殺しあった。仕留めることはできなかったけどな」

「仕留めることができれば……今回犠牲者が出なかったのにな」

俺と同じくあの日、ザザと殺しあいをしたキリトが顔を歪め辛そうにしている
ザザの命と今回犠牲になった三人の命。選ぶなら確実に後者だ
もちろん、自身が奪った命はこの先ずっと背負っていかなければならない

「ザザみたいにソードアート・オンラインに魂を歪められた人はたくさんいると思う。だからこういう事件はどちらにせよ起こったと思うよ」

ソードアート・オンラインは現実ではありえないファンタジーのような世界だった
単純に戦闘能力が生死を分けるあの世界
平和ボケしている事なかれ主義の現代日本人がそこに放り込まれたらどうなるか?
クリアするんだと息まいてレベル上げに打ち込むだろうか?
それとも考えることを放棄して宿に閉じこもるだろうか?
それとも自殺するだろうか?
それとも……現実だと認めず自分が生きるためではなく現実ではまず味わえない体験……殺人を犯すだろうか?

「でも救われた人だっていると思うよ。……私みたいに。だから私はあの世界での約二年間は否定したくないな」

アスナの視線はまっすぐキリトを向いていた
アスナはキリトと出会い救われた。それは俺も同じだ
自己の価値を本当に理解していなかった俺を個として見てくれたのはキリトがおそらく初めて

「……さすがはタラシ」

または主人公というべきだろうか?
おそらく本人は救ったことを自覚していない。自分を信じる道を突き進み、まわりを救いながらまわりに支えられ困難を乗り越えていく。それを主人公だと言わずしてなんと言うのだろうか

「燐。それは後でたっぷり聞かせてもらうから……」

「ああ……了解」

人間タラシは主人公の基本スキルではあるので時には女同士の修羅場が発生する。これは主人公スキルではどうにもならない困難であるので頑張れよ、キリト

俺はキリトの未来に心の中で合掌した










「さて、そろそろ次の話題に移るか」

俺が事件の概要を話し終え、リズとキリトとアスナが一通り憤慨し、エギルが一つ上の視点から冷静に分析した後、俺はそう切り出した

「次の話題って?」

「詩乃……お前についてだ」

「私?」

「最初に謝っておく。すまない、ここにいる全員に詩乃な過去を話した」

「えっ……」

詩乃
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