第二章
雪ノ下雪乃は自分をごまかさない。ちなみに俺はなんもしない。
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企谷にそれはないだろう。
多分、小学校のとき、朝の教室で誰もいない時間を見計らってリコーダーの先だけ交換した罪悪感とかからだろう。小学生のうちから、誰もいないのを見計らって犯行を開始するとか比企谷マジ変質者知能犯。
「大変だったんだな」
その変質者でおまけに知能犯という将来色々有望な男が言った。
「ええ、大変よ。私、可愛いから」
雪ノ下は自嘲気味に笑った。
そんな台詞を言っても何故かイラッとしなかったのは、それが雪ノ下だからであり、こんな美少女でもなければすっごい気持ち悪いこと間違いなし。... じゃあ何も言ってない俺はなんで気持ち悪いって言われたんだろう? やっぱり...、目?
「でも、それも仕方がないと思うわ。人はみな完璧ではないから。弱くて、心が醜くて、すぐに嫉妬し蹴落とそうとする。不思議なことに優れた人間ほど生きづらいのよ、この世界は。そんなのおかしいじゃない。だから変えるのよ、人ごと、この世界を」
そう言った雪ノ下の目は明らかに本気の目で、ドライアイスみたいに冷たすぎて火傷しそうだ。
優れた人間ほど生きづらい、それは当たり前だ。理由はたいしたことない、単純に数が平凡な人間と比べて少ないからだ。みんなが雪ノ下のような人間なら何も起こらない。...戦争が起きちゃう気はするけど。
でも、雪ノ下のようなケースは珍しいと思う。才能ある人間はたいてい周りの人間を騙してうまくごまかし、普通に生活しているから。でも雪ノ下はそれをしない。つまり嘘をつきたくないのだろう。
なら普通に嘘をつく俺はとっても生きやすい人生を歩んでいるはずだ。
...話が長くなってしまった。でも最後に言わせてくれ。
「人ごと変えるってのは怖いから止めて」
「努力の方向があさってにぶっ飛びすぎだろ...」
何そのテロリスト思想こわい。努力は実を結ぶ、とか、努力は自分を裏切らない、とか、努力は自分の糧になるってよく聞くけど...ここまで実を結んでほしくなくて、自分は裏切ってないかもしれないけど人類を裏切ってて、自分の糧にならない努力も珍しい。......糧と言ったら殺戮手段を学び、多くの人間を一度に抹殺出来るようになりました...みたいな成長しかない。...たま○っちでそんな成長を遂げたら思い切り跳躍つけて粉砕してるとこだ。
「そうかしら。それでもあなた達のようにぐだぐだ乾いて果てる随分とマシだと思うけれど。あなた達の...そうやって弱さを肯定してしまう部分、嫌いだわ」
そう言って、雪ノ下はふいっと窓の外に目をやった。
...雪ノ下雪乃。確かに美少女で成績優秀といった、なんと言うか優秀な人間だ。まぁ性格に難があるのが玉に致命傷だが...。
だがその致命傷は雪ノ下雪乃の生き方を表したようなものなのだろう
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