コヒメ
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「ごめん! 本当にごめんっ!」
安桜美炎。
そう名乗ってもらった刀使の少女は、ラビットハウスに来て早々、両手を合わせて謝り込んでいた。
フィンガレスグローブを合わせて謝罪をしている相手は、同じテーブル席の向かいにいる、緑のセーラー服の少女。ボブカットに切りそろえた髪を、水玉模様のカチューシャがリボンのように飾っている。
お淑やかそうな印象とは裏腹に、彼女は頭から煙が昇るように顔を真っ赤にしていた。
「もうっ! 心配したんだからね!」
「だからごめんって」
緑のセーラー服の少女は、腕を組みながら頬を膨らませている。
「可奈美ちゃん、えっとあの子……美炎ちゃん、だったっけ?」
「うん。私の友達!」
「うん。君の友達。それは分かった。あっちの子は?」
ハルトは、緑のセーラー服の少女のことを尋ねる。同じ服装を、以前可奈美の記憶から呼び出された彼女の友人が着用していた。
「あの子は六角清香さん。美炎ちゃんの友達で、調査隊っていう部隊のメンバーだよ」
「調査隊?」
「うん。あと五人くらいいるはずなんだけど……」
可奈美も眉をひそめた。
だが、まだ美炎の謝罪に終わる気配はない。
可奈美はその様子に苦笑しながら、「まあ、それは後でかな」と言った。
やがて、美炎が清香という少女に許しを請うための大声を上げた。
「パフェ奢るからぁ!」
「ほのちゃん。わたしたち、もう一か月も逃げ回ってるんだよ? もうお金がないことだって、わたしも知ってるよ?」
「?っ」
清香の反撃に、美炎は固まる。
清香はため息をついた。
「別にわたし怒ってないよ。でも、いくら荒魂の反応があるからって、わたしたちに少しくらい伝えてくれても良かったんじゃない?」
「反省してます……」
「これからは、そういう時もちゃんと一言言っていってね」
「はい……」
美炎のツインテールが花のように萎れた。
ようやく一段落ついたか、とハルトは清香に話しかけた。
「えっと、清香ちゃん、でいいんだよね?」
「はい。あの……」
「ああ、俺はハルト。松菜ハルト」
「初めまして。わたし、六角清香です」
「よろしくね。それより、……そろそろ、教えて欲しいんだけど」
ハルトはそう言いながら、美炎の窓際の隣___体を縮こませながら彼女にしがみついている少女を見つめた。
服も肌も、等しく白い少女。髪に至るまで真っ白なその少女は、まるで水墨画のような美しさを感じていた。純粋そうな眼でハルトを見返している少女のことは何も分からないが、ただ一つだけはっきりしていることがあった。
彼女は、人間ではない。
「その子は……?」
それが、ずっと美炎へ聞
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