コヒメ
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いつもの腕組みをする。
「お姉ちゃんに任せなさい! 美炎ちゃんに、美味しい料理をご馳走するよ!」
彼女はそう言って、脱兎のごとくキッチンに駆け込んでいく。
だが、その時、美炎と清香は顔を見合わせた。
「その……本当、なんかごめんね」
「ああ、ココアちゃんなら大丈夫だよ。多分、山城さんみたいにぎゅってされてあげたらなんでも許しちゃいそうだから」
可奈美はそう言って、コヒメに視線を投げた。
コヒメは出されたオレンジジュースを両手で持ちながら飲んでおり、やがてハルトを見上げた。
「……?」
彼女の真っすぐな眼差しが、ハルトの顔を見上げている。
やがてコヒメは、静かに読んだ。
「はると」
袖を掴んだ。
「どうしたの?」
ハルトがコヒメの目線に合わせてしゃがむ。改めて、人形のような彼女の姿に、無意識にハルトの心は落ち着かない。
やがてコヒメは、ハルトの右頬に触れた。人間の温かみと同じ温もりが、ハルトの頬から広がった。
「……?」
「えっと……コヒメちゃん?」
だが、コヒメに反応はない。
そして。
「ヴェアアアアアアアアアアア!」
「うわっ! びっくりした」
厨房からなぜ察知してきたのか、ココアが血相を変えて戻って来た。その余りの勢いに、ハルトは立ち上がり、コヒメから離れた。
「ハルトさん羨ましい! コヒメちゃんにほっぺを触ってもらって! チノちゃんにだってされたことないのに!」
ココアはハルトの肩を掴みながら揺さぶる。抵抗さえもできないほどの勢いに、実はまだネクサスの力残っているんじゃないかと勘繰ってしまう。
「ほら、コヒメちゃん! 私にも! 私にも!」
「え、ええ……?」
ココアが顔をいきなり接近させた。彼女の鼻息が当たりそうな距離に、コヒメは怯えた声を上げた。森に隠れる小動物のように、美炎の反対側へ逃げた。
「ああ……」
「全くココアさんは……年下の女の子だったら誰でもいいんですから……」
項垂れるココアへ釘を刺す水色の長い髪が特徴の少女。
ラビットハウスの看板娘であり、オーナーの一人娘でもある少女、香風智乃は、静かに三人の客席にオムライスを乗せた。
「えっ?」
「私達、注文しましたっけ?」
美炎と清香の目が点になる。
「こちらは、店主の父からです。可奈美さんの友人ということでいただきました」
「ありがとう!」
「ありがとうございます!」
美炎と清香は、同時にチノに礼を言った。
「もう何日もまともにご飯食べてなかったから助かったよ! いただきます!」
「いただきます」
山のような形をした卵焼き。顔を輝かせた美炎と清香は、同時にそ
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