コヒメ
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ルトを見て、可奈美が補足した。
「まあ、荒魂も色々な種類がいるからね。中には、人間と共存できるのもいるんだよ。私の友達が連れている荒魂とかね」
「共存……ね……」
「あれ? お客さん?」
その時、ハルトの思考を遮る声が現れた。
ホールの奥より、ココアが姿を現したのだ。
朝の件でチノにこってりと絞られたのであろう彼女だったが、絞られたどころかむしろ活き活きとしており、三人の少女の姿を見て顔を輝かせた。
「初めましてのお客さんだね! こんにちは! 私、保登心愛! 町の国際バリスタ弁護士パン屋小説家になるお姉ちゃんだよ!」
「毎回思うけどその自己紹介の一体どこからツッコミを入れればいい?」
「こくさい……え?」
美炎が白目でココアの言葉を整理している。
ココアは、美炎と可奈美の服装を見比べる。同じ制服を着ている二人の姿から、ココアは「可奈美ちゃんのお友達?」と尋ねた。
「じゃあ、私の友達も同然だね! そして、私の妹ってことだね!」
「いやその理屈はおかしい」
だが、ハルトのツッコミも聞かずに、ココアは次のターゲット……コヒメに狙いをつける。
「何この子!? 可愛い!」
「え!? わわっ!」
ココアが、前置きなくコヒメに抱き着いた。
思わぬスキンシップに、コヒメは驚きの表情を見せた。
「な、何!?」
コヒメは抜け出し、美炎の後ろに隠れた。
「こ、この人何? みほの……」
「あ、あっはは……多分、由衣と同じタイプだね」
「え? ということは……」
清香が、顎に手を当てた。
だが、すでにコヒメに逃げられたココアの眼差しは、清香へ変更された後だった。
「こっちも可愛い! 私の妹になって!」
「やっぱり!」
清香が逃げようとするが、手慣れたココアからは逃げられない。窓とココアに挟まれ、即座に野兎に捕まってしまった。
「……あ、あはは」
美炎がその様子を苦笑しながら眺めてている。
やがて、ラビットハウスを、大きな虫の音が鳴り響いた。
「あ」
その発生源は、とてもその音が似合わない少女。清香が、顔を真っ赤にした。
「その……ごめんなさい」
「きよか、お腹空いたの?」
「コヒメちゃん……!」
子供は正直だな、とハルトは思った。
だが、一方の清香は恥ずかしさで顔を膨らませていた。
「もう……でも、ちょっと安心したら、お腹空いてきたかも……」
「わたしもお腹ペコペコ〜!」
一方の美炎もまた、笑顔を見せながら机に突っ伏している。
挟まれたコヒメは、そのまま抜け出して、通路側に座った。
その時、ココアが勝機は来たりとばかりに拳を固めた。
抱き着いていた清香から離れ、
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