コヒメ
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きたかったことだった。
荒魂と融合したファントム、バハムート。彼を倒したあと、拡散したノロと呼ばれる物質を回収するために、ハルトは彼女たちの所属する刀剣類管理局へ電話することになった。それが終了したころ、この少女を連れた清香が現れ、場所を変更するということで、ラビットハウスが選ばれた。
そんなハルトの質問に、美炎は当たり前のように答えた。
「コヒメのこと?」
「コヒメ?」
「そう。ほら、コヒメ。挨拶しよう?」
美炎はまるで幼い子に教えるかのように、コヒメなる少女を膝の上に乗せる。
ハルトはそんな彼女に、膝を曲げて目線を合わせた。
「こんにちは。ハルトだよ」
「衛藤可奈美。よろしくね」
「初めまして。コヒメです」
彼女はそう言って、ハルトと、その隣の可奈美を見つめる。
だが、すぐに彼女の目線はハルトに集中する。
「? どうしたの?」
だが、コヒメはハルトの問いに答えない。
「も、もしかしてコヒメちゃん……年上のお兄さんがお好み?」
「清香!?」
口走り始めた清香へ、美炎が白目を向けた。
だが、清香の暴走は止まらない。
あたかも水を得た魚のように、饒舌に喋り始める。
「分かるよコヒメちゃん。運命の出会いはいつ何時起こるか分からないもんね! でもちょっと年離れすぎてるかな? そもそも出会いだったら、もうちょっとロマンチックな出会いがいいかな? 具体的には、遅刻しそうな時にパンを咥えて走っていたら、街角から偶然……」
「わーっ! 清香、ストップストップ!」
とどまることを知らない夢女子な清香を、美炎が大声で遮った。
「そういうのじゃないでしょうに……コヒメ、どうしたの?」
「ううん……何でもない」
コヒメはそう言って、ハルトから美炎へ顔を動かした。だが、彼女の目線がハルトに向いているのを、見逃すことはできなかった。
「それで、どうして美炎ちゃんは見滝原に? それに、この子って……」
可奈美が恐る恐る尋ねる。
彼女が何を危惧したのか察したのだろう。美炎は口を吊り上げながら頷いた。
「うん。その……荒魂だよ」
「やっぱり。それじゃあ、ねねちゃんと同じなんだね」
「……」
荒魂。その単語を耳にした途端、ハルトの表情が強張った。
「荒魂って、さっきファントムと融合した奴だよね? でも……」
ハルトは、あのムカデの怪物と目の前の少女を見比べる。荒魂という怪物は、漆黒のボディに、マグマのような体液を循環させていた。それに対してこの少女は、確かに黒い体のパーツはあれど、ほとんどが白一色。長い髪の裏部分は、よく見れば赤い影ができていないこともないが、外見から荒魂と同種とは判断しにくかった。
そんなハ
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