第三百三十二話 大晦日のデートその四
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「家族同士でもね」
「入ったらいけないところはあるわ」
「そうだよ、そしてプライベートでもね」
こちらでもだ。
「お互いにね」
「干渉しないことね」
「金閣寺でもそうした場面あったし」
三島由紀夫の代表作だ、多くの作品を残した人だけれどこの人の一番の代表作というとやはりこれだろう。
「あまりね」
「プライベートのことはね」
「言わないことだよ」
「そうね」
「デートの時も」
「お互いに楽しむ」
「それでいこう」
こう香織さんに話した。
「これからはね」
「そうね。私達だけでね」
「楽しもう」
「そうした時ね」
「これからはね」
「それじゃあ」
「八条寺に行こうね」
香織さんに笑顔で話してそのお寺に向かった、そして。
夜の道を二人で進んでいった、その中で息を吐いたが。
息は二人共白かった、香織さんはその白い息を見て僕に言ってきた。夜の灯りの中に見えるそれを見て。
「寒いってわかるわ」
「息が白いとね」
「それがわかるわよね」
「うん、寒いからね」
まさにそれ故にだ。
「こうしてね」
「息が白いのよね」
「それでその白い息を見て」
「余計に寒く思えるわね」
「本当にね」
「そうね。それと」
香織さんは僕にさらに言ってきた。
「周り人多いわね」
「皆お寺に行く人ね」
「うん、ここはお寺に行く道だから」
だから僕y達も今ここにいる。
「だからね」
「皆そうね」
「そうだよ、それでお寺でね」
「除夜の鐘を聴くのね」
「その音をね」
「そうよね。あの音を聞いたら」
香織さんは微笑んで言った。
「一年が終わって煩悩もね」
「落ちるよね」
「実際にそう思えるわ」
「そうだね、その鐘の音が五月蠅いとか」
だから鐘をつくなとかだ。
「言う人はね」
「やっぱりおかしいわね」
「宗教が違うにしても」
たとえキリスト教やイスラム教の人でもだ。
「言わないよね」
「普通はそうよね」
「まして年に一度だし」
「気にしなくていいわね」
「そう思うよ」
実際にだ。
「僕もね」
「誰だってそう思うわね」
「ええ、けれど」
「それでもよね」
「そう、本当に」
信じられないことにだ。
「言う人がいるんだよ」
「そうよね」
「クレーマーにしても」
そして今の日本が残念ながらクレーマー天国と言っていい状況でもだ。
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