第三百三十二話 大晦日のデートその三
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「だからね」
「お互いそうだったのね」
「約束破ったことになるかな」
「じゃあ今から二人で待ち合わせ場所に行って」
香織さんは僕に笑顔でこう提案してくれた。
「そこから行けばいいわ」
「それで約束を破ったことにならないかな」
「そうでしょ。そこにいればね」
二人でそうすればというのだ。
「それでね」
「そうなんだ。それじゃあ今から」
「ええ、そこにね」
「行けばいいね」
「そうする?」
「そうだね」
少し考えた、それから香織さんに答えた。
「それじゃあね」
「ええ、そうしましょう」
「それじゃあね」
こう話してだった。
僕達は二人で待ち合わせ場所に行った、そうしてだった。
二人でまずは八条寺に向かった、まだ皆は出ていないけれど僕は二人で八条荘を出てから香織さんに話した。もう外は真っ暗で顔に冷気が来た。
「もうそろそろ皆もね」
「八条荘出るわね」
「それでそれぞれの相手の人と」
「待ち合わせしてね」
「デートに行くよ」
「そうよね」
「行く場所は大体同じだろうね」
大晦日そして元旦だからだ。
「まずは八条寺に行って」
「それから八条神宮ね」
「そこに行くよ」
「順番にね」
「だからね」
「会う人もいるかな」
それか見掛ける人もだ。
「何人かね」
「そうかも知れないわね」
「その時は目でね」
「挨拶するのね」
「それか軽く会釈して」
そうしてだ。
「お互いにデートはね」
「邪魔しないことね」
「それが礼儀だね」
お互いデート中に出会った時にはだ。
「やっぱり」
「お互いの邪魔はしない」
「それがね、楽しんでいる最中は」
その時はだ。
「お互いに邪魔しないで後でもね」
「言わないことね」
「そうだよね、そうしたことはちゃんとしないと」
「プライベートのことは言わないことね」
「親しくても」
それでもだ。
「家族じゃないからね」
「家族でも入ったらいけないところあるしね」
「そうだよね」
僕も親父の深いところには入らない、そして親父もだ。人間何かとあるものだからだ。家族同士であっても。
「本当に誰でもね」
「トラウマとかね」
「そう、トラウマって誰にでもあるから」
心の傷、それはだ。
「それに触れたらね」
「余計に傷付くから」
「しかも恨まれるよ」
その心の傷を抉ったことによってだ。
「下手したら一生だから」
「トラウマに触れるってそうなのよね」
「うん、自分は軽い気持ちでそうしてもね」
「相手の人は深く傷付いてね」
「恨まれるよ」
「それも一生」
「そうなりかねないし」
このこともあってだ。
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