第三章
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「もう先はね」
「ないのね」
「どうせ骨の髄までしゃぶられてね」
「終わりね」
「そうなるわ、お金にも汚い団体だし」
「ああしたところって何処もそうね」
「だからね」
そうなるからだというのだ。
「もうね」
「あの人達とは」
「何もないわよ」
姉に笑顔で言った、そして実際にだった。
カルト教団の教理と活動に没頭する様になった両親は周囲からどんどん孤立しやがては仕事を辞めて教団の中で共同生活に入った、そのうえで他の団体を攻撃する様になり先鋭化していき誰とも付き合いがなくなった。
家も土地も財産も教団に差し出した、美菜はその両親について同僚に話した。
「親戚付き合いもなくなって」
「それでなの」
「ええ、もうね」
この時も喫茶店でコーヒーとケーキを食べつつ話した。
「完全にね」
「外の世界と隔絶しているのね」
「そうなってるわ」
「もうどうしようもないわね」
「あれよ、妹を贔屓してね」
優秀な彼女をというのだ。
「自分達のおもちゃにしていたけれど」
「そのおもちゃがなくなって」
「新しい暇潰しを見付けてね」
「それがなのね」
「カルトだったのよ」
「そういうことね、何かね」
同僚はここまで聞いて言った。
「おもちゃがなくなったらカルトって」
「人間としてね」
「あんまりね、結局自分がない人達なのね」
「そう思うわ、もう親と思ってないけれど」
それでもとだ、美菜は話した。
「あんな人達みたいにはね」
「なりたくないわね」
「そう思ってるわ、妹も話してるけれど」
真菜のことも話した。
「あんな人達みたいにはならないわ」
「反面教師にするのね」
「これからはね」
「それがいいわね、碌なことにならないから」
「そうしていくわ」
こう同僚に言った、そのうえで今はコーヒーを飲んだ。コーヒーは甘かったがそれでいて何処か戒めを思わせる苦さもあった。
カルトに染まった両親 完
2021・9・21
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