第111話『情報戦』
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ただ午後の試合と判明して、まずはホッと一息。
本音を言うと、昨日の疲れがまだ取れ切っていないのだ。だから少しでも休息できるのは嬉しかった。
『さて、それではいよいよ本日の特別ルールを発表します』
さて、これが今日の分水嶺。2回戦のように実力差を覆すチャンスとなるか、はたまたその逆となるか。
晴登はごくりと喉を鳴らしながら、ジョーカーのセルフドラムロールを聴く。
『デン! 本日の特別ルールは"ガチンコ3本勝負"! 細かいルールは無しで、純粋に3回勝負のうち2本先取したチームが勝利となります!』
特別ルールが決まった。これは……後者に当たるだろうか。つまるところ、完全な実力勝負である。
『なお、メンバーの選出は自由です。この後、第1試合が始まる前に受付にオーダーをお知らせください』
そう最後に言い残し、ジョーカーは姿を消した。
*
「3本ってことは、俺の出番はないってことでいいっすか?」
「そうだな。俺と辻、三浦の3人で行こう」
ジョーカーが消えてから、受付前のロビーにて準決勝に向けての最後の作戦会議が行なわれる。そんな中、伸太郎が放った一言が冒頭のものだ。
実力勝負となれば、当然選出されるメンバーも実力順。結月がいない今、1番目と2番目は終夜と緋翼だが、3番目に晴登が選ばれるのは必至である。そして4番目となる伸太郎は、幸か不幸か出場を免れることとなった。
「順番は……大将は俺として、先鋒を辻にしたい気持ちがあるな」
「私? 三浦じゃなくて?」
「先に1本取った方が勢いがつくってもんだろ。だから、大将の次に先鋒が強い方が望ましいんだ」
「なるほどね。任せなさい」
「てな訳で、お前は中堅だ。いいな?」
「はい!」
成り行きで順番が決まってしまったが、確かにこれがベストな気がする。"流れ"というのはそれだけ重要だ。問題は1本目が取られた時だが……考えても仕方ない。
「星野先輩が大将なのは確定として、後は猿飛さんと小鳥遊さんか。辻と猿飛さん、三浦と小鳥遊さんが当たるとベストだが……」
「逆だとちょっと苦しいわね」
「あぁ。でもこればっかりは運ゲーだな」
近距離が強い風香には緋翼を、空を飛ぶ舞には遠距離攻撃できる晴登が適任だということだ。花織が出ないということがわかっているからこそ、建てられる作戦……いや、確実に当たる保証はないから希望止まりだが。
「ここまで来たんだ。絶対勝つぞ!」
「「おー!!」」
終夜の掛け声に合わせ、晴登と緋翼は大きく拳を掲げて返事をした。
──結月、お前の分も頑張るからな。
ここにはいない彼
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