荒魂ファントム
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
まえば、そっちの魔法使いが絶望するか?」
「やめ……」
「さあ! 俺の強さに絶望してファントムを生み出せ!」
バハムートの腕の力がどんどん上がっていく。今に、可奈美の華奢な首をへし折ろうとする魔人。
間に合わない、とウィザードが駆けだそうとした。
その時。
どこからともなく湧き上がる、紅蓮の炎。それは渦を巻きながら、バハムートの頭上に集っていく。
「何だ……!?」
全身を貫く微熱に、ウィザードは顔を上げた。
集っていく炎。竜巻のようにも見えてくるそれは、やがて刃となり、その中心に光る刀に走っていく。
「あれは……!?」
その中に見える、小さなシルエット。
剣を振り上げる、ローブの人物。その姿を彩るように、炎がどんどんたまっていく。
そして。
「神居!」
それは、斬った。
可奈美を締め上げる手を切断し、彼女を地面に落とす。
「ぐああっ!」
二つの異形を取り込んだ怪物は、悲鳴を上げるものの、即座に再生。
ローブが繰り出した蹴りとバハムートの蹴りがぶつかった。
そのまま、蹴りを連打したローブは着地する。
「ちぃ!」
思わぬ新手の反撃に、バハムートは可奈美から離れる。
しゃがんだ足を伸ばし、その日本刀をバハムートに向けるローブ。その刀の先端が欠けていることに、ウィザードは気付いた。
「君は……?」
一方の可奈美。彼女は、じっとローブの姿を見て、顔を輝かせた。
そして。
そのローブが風により浮かび上がり、下ろされていく。
現れたのは、少女の顔。
ツーサイドアップにまとめられた髪の一部が、炎のように輝き、その下に燃えるように輝く真っ赤な瞳がある。
元気そうな顔つきは、揺るがない自信に満ち溢れている。彼女は、可奈美の姿を認める。
二人の少女は、数秒見つめ合い、笑みを零す。
「……行こう!」
「うん!」
可奈美とローブの少女は、共に頷きあった。
千鳥、切っ先が折れた日本刀が並ぶ。
「図に乗るな!」
バハムートの全身……荒魂の紋様が表に出ているところから、無数の光弾が発射される。
だが、白い光に包まれた二人の少女たちは、それをいとも簡単に切り裂く。
「ちぃ!」
バハムートの腕が、ローブの少女の日本刀とぶつかる。
「貴様、一体何者だ……!?」
「うわっ、荒魂が喋った……! ってことは、スルガと同じなの?」
「ふん!」
バハムートの蹴りが炸裂する。だが、ローブの少女もまた足蹴りにより、その軌道を反らし、逆に斬り込む。
「むっ!?」
同時にバハムートは、背後にも腕で防御した。回り込んだ可奈美の千鳥が、甲高い音を立てた。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ