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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第十八話「少女の激情」
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はならない。
お尋ね者された時だってそうだ。聞いたときには取り乱したが翌日にはもう冷静さを取り戻していた。それは『良くできた子』では済まない事だ。世界からも拒絶されたと言うのに、彼女はまだ偉大な傑物でも大悪党でもないのに。
フェイトは俯いた。

「………わ・・な・よ」

「なに?」

「リオンさんにはわからないよ!!」

幼い手で、拳を握り締めるのが見えた。

「そんなに強いリオンさんには、私の気持ちはわからないよ!」

「なっ…」

それは最後の時プレシアが上げた声ととても良く似ていた。リオンも思わず気圧される様な激情の叫び。

「私は母さんの娘でいたかった!母さんが後もう少しで死んじゃう事も知ってたけどそれでも良いって思った!
 母さんと一緒に過ごせるなら他に何も要らない思ったんだ!誰に偽者って言われても私は私だって言えたんだ!」

その傍で、アルフもバルディッシュもひたすらに沈黙していた。彼女たちもわかってはいたのだろう主人(フェイト)の凄まじく深い悲しみに。だが彼らは同時にこんな彼女を見たくなかったのかもしれない。

「私すっかりいい気になってた、リオンさんの警告も聞かないで
 もしかしたら母さんは何か理由があって私を痛みつけてるんだって思ったから、
 時の庭園の資料を見に行ったんだ!覚悟なんか何もできてなかったんだ!
 今だって、どうして私に教えたのって思ってるんだ、あんなことなら知らないままのほうが良かった!」

「フェイト…お前は」

「止めて!聞きたくない!」

フェイトは机の上に乗せてあったバルディッシュを握って外へ出て行ってしまった。
どっと疲れたリオンはフェイトの部屋だと言うのも構わずにドサッと椅子に腰をおろして溜息をついた。そんな彼を見てもアルフは責めようとすらしない。むしろ彼女も少し怯えたようにリオンを見るだけだった。

「良いんですか坊ちゃん、追わなくて」

リオンもまた、シャルティエのその声に答えることができなかった。

−−−−−−−−

「どう、してっ!」

逃げるように部屋を飛び出したフェイトも解ってはいた。今の自分の態度が『逃げ』でしかない事を。だがそれでも今彼の前にはいたくなかった。激情が胸を支配する中エドワードの制止する声すら振り切ってひたすらに走った。
フェイトは年の割にはとても聡明だ。もう一端の大人と扱っても良い位に。
だからフェイトは言葉でこそ表せないが本能的な部分では解っていた。人間と言うのは愚かな生き物だ。苦しければ苦しいほど、愚かな自分から目を逸らせば目を逸らすほど、愚かになる。それを知っていた。だからこそ理解できてしまう。現状と……自分が唯のクローンで母からは終に受け入れられなかった事を認めなくてはならないのだと解
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