第二章「クルセイド編」
第十八話「少女の激情」
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エの射程からは決して外してはいない。
「………フン」
「ありゃりゃ、つれねえの。サンドウィッチでも食うか?」
「貰おう」
口に含んだそれはリオン好みの甘い蜂蜜のサンドウィッチだった……だが残念な事にその香りだかい味も戦場にいる気分では美味しく味わえなかった。その一方エレギオは欠食児童のようながっつきぶりだった。
−−−−−−−−
「……………………」
アジトに戻ったリオンはある部屋の前で硬直していた。その顔からあふれ出る不機嫌オーラ足るや最高潮に達していてシャルティエもおいそれと発言できないレベルである。
リオンが戦場にいる気分だった理由………勿論ツァーライト一味の中にずっといたからと言うのもそうだが………一番はコレだろう。そのドアの向こうに今寝泊りしているのは魔法少女一人とその使い魔一匹だ。
「フェイト、いるか?」
「リオンさん?ちょっと待ってて、今開けます」
そう言って本の数秒後、ドアが開いてリオンが見たフェイトの顔はこれ以上無いほどの完璧な笑顔だった。元々顔も良いフェイトがそんな顔をしている今この世の男全てが惚れてしまいそうな笑顔だ。良い笑顔、と言えるだろう。
人は特に何があったわけでもないのにそんな笑顔をする事はできない。
「この馬鹿!」
次の瞬間リオンは平手をフェイトの頬に叩きつけていた。悔しかった、こんなにも年齢が二桁にもならない少女が心配させまいと普通に振舞おうとするのを見るのが、それに付き合って無理やりにニコニコ笑う使い魔を見るのが、
そしてなによりもそういう顔しかさせられない自分がリオンはたまらなく悔しかった。
「リオンさん?」
叩かれたのにまるで何事もなかったのかのように自分の名前を呼ぶフェイトも
「な、何するんだよアンタ……」
誰よりも敬愛する主人が叩かれたのに何時もの威勢で怒鳴ることをしないアルフも
「貴様は何をそんなに怯えているんだ」
そして何よりこんな時でも何処か平常心を保っている自分が気持ち悪くて、悔しかった。
「怯えて……?私そんな事何も」
「……じゃあどうしてお前は目の下に泣いていた後があるんだ?」
「ふぇ……」
半ば呆然といたようにフェイトは自分の目元へ手をやった。よほど念を入れてふき取ったのだろう、リオンはそんな物見つけてはいない。ただカマをかけただけだ。だがそうやって無い涙をふき取ろうとするフェイトは何よりも癇に障った。
「お前は何で泣かない?」
彼女は泣かなくてはいけないのだ。プレシアの為に、母から拒絶されたと言うショックで泣かなくてはならない。あれほどに慕っていたプレシアから最後の最後まで拒絶されたフェイトは涙を流さなくてはならない。せめて人並みにでも悲しまなくて
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