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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
京都-じごく-
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ないのか?」
分かっているのは、昨晩鬼の領域が無事だったことくらい。
それだけで勝手に犯人をあちら側の仕業と決めつけるは些かおかしい。
しかし、
「均衡は崩された。それだけです。向こうがその気なら我々もまた虫共の首を晒しあげるまで!」
「そうだそうだ!!」
「あんな奴らが隣にいるなんざもうゴメンだ!!」
頼光の声に、次々と賛同者が集う。
それによりかき消される俺の意見。
俺はなにか言おうとするが、
「武蔵…!」
「もうこうなっては…一人二人じゃ止められないわ。」
肩に手を置き、諦めた表情の武蔵が首を横に振って止めた。
確かにその通りだった。
「進軍です!目指すは…鬼の頭領『伊吹童子』の首!!なんとしても討ち取るまで!!」
だめだ…頭領によって守護隊の士気はぐんと上がり、止められそうにない。
逆に俺がそれでもなにか言えば、鬼の前に俺の首が飛ぶだろう。
しかし、そんなときだ。
「あら、昨晩酷い目に遭ったみたいだけど、元気にやってるみたいね。」
「…!!」
守護隊のせいでうるさいはずが、何故かその声だけはハッキリと聞こえた。
そして静まり返る一同。
そこには…。
「あの時の…!」
「こんにちは、昨日の旅人さん。」
一人の少年を隣に連れた女性。
その女性こそ、昨日会ったあの謎のサーヴァントだ。
「お前…!」
その雰囲気と威圧感に気圧されそうになる。
周囲の守護隊は完全に怯えているが…。
「わざわざそちらから出向いてくださるなんて。手間が省けるではありませんか。」
「なぁにそんなに殺気立って。そっちが緊急事態だから、お姉さん助けようと思って来てあげたんだけど。」
さすがは妖殺しのプロと言ったところか。
源頼光だけはそうではなく、堂々と歩きそのサーヴァントの前までやって来た。
「助ける?何を?殺すの間違いでは?」
「何か勘違いしてない?本当に善意100%なのよ私。」
「その嘘しかつかない口を閉じなさい。虫。」
女性の首に突き付けられる。
頼光ほどの速さならば、まさに雷のごとく瞬時に相手の首を断てるだろう。
しかし女性は恐れることなどせず、相変わらずニコニコとしている。
「誰だ…知り合いにも見えるが…。」
この女性が気になる。
頼光と対等に会話するこの謎の存在が。
隣で固唾を飲み込み、事の行方を見守る吉良幸司に尋ねると、
「ああ、あの人だよ。」
「…?」
「伊吹童子。鬼の領域を統括する、あっちの頭領だ。」
一瞬、自分の耳を疑った。
つまりなんだ?俺は、昨日そんなとんでもない人と会って軽口叩いて帰ってきたのか。
そして…伊吹童子だと?
「そんなものが…サーヴァントに…?」
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