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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
葛城舞という男の娘(おんな)の話
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「益々身体がメスっぽくなっておれも嬉しいヨ。」
「そんなこと言わないで!ほら!ご飯できる前に少しくらいお仕事進めたら!?」
セクハラ紛いのことをされて少しご機嫌ななめになるけど、お栄ちゃんは笑って仕事場へと消えていく。
「まったくもう…。」
気を取り直して卵を焼き始める。
でも、嫌じゃない。
こうして何事もない日常を送って、お栄ちゃんとずっと一緒にいられる。
今が夢みたいなとっても楽しい日々。
まるで僕達、夫婦にでもなったみたいだ。
それから
「進捗はどうなの?」
「ああ、終わった。ついでにもう一作品描いてみるか。」
「やっぱり早いね。」
朝食をとりながら、お仕事の話をする。
お栄ちゃんのお仕事は絵を描くこと。
誰かに頼まれて描いたり、自分の描いた得や漫画を売ったりする。
今話しているのは即売会の話。
色んなサーヴァントや人間が集まって、自分の描いた好きな物を売りあう。
いわゆるコミケみたいなものだ。
「マイはどうなんだい?」
「ごめん…もう少しで出来る…と思う。」
それと、僕も絵を描いてる。
お栄ちゃんほどでは無いけども、一応上手いと言われるウデマエだ。
「ったく…そろそろ絵一本でやってく覚悟決めたらどうだい?」
「そうは言ってもお金が…。」
生活していく上で、お金というのはどこの世界でも必要なものだ。
ちなみにお栄ちゃんはとと様のそっくりで、お金にあまり執着がない。
依頼だって格安で請け負うし、即売会でも知り合いがいればタダであげちゃうし布教用で下さいといえば一冊分の値段で何十冊もあげちゃったりする。
気前がいいのはいいけど、やはりそこは困り物だ。
だから僕はこうして働きながら、絵を描いている。
とてもじゃないけど今の状況で絵一本で食べていく自信はない。
「そんな深刻そうな顔すんな。マイの絵はおれととと様のお墨付きサ。ナァ、とと様。」
と言い、ちゃぶ台の上にいるとと様に首を向けた。
さっきからもしゃもしゃと卵焼きを食べてるこの小さなタコのマスコット生物こそ、お栄ちゃんのとと様、葛飾北斎。
なんか邪神と色々あってこんな姿になったんだって。
で、そのとと様は
「なに?味が薄くて飯のおかずにならねぇ?今はそんなこと聞いてるんじゃねぇ!マイの絵の事だ!!」
ぷい、とそっぽを向いて味噌汁をすするとと様。
とと様の言葉は基本分からないが、娘のお栄ちゃんと僕にだけはちゃんと通じる
あ、今『味噌汁も薄い』って言われた。
「ごめんねとと様。今度少し濃いめにするから。」
と、文句は言うけど出されたものはきちんと残さず食べたとと様はふよふよと浮いて自分用の小さな座布団にちょこんと座った。
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