第六十六話 好き嫌いその十九
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「当然よ」
「当然ですか?」
「いい意味でね、高校生でそこまでおみちに熱い子もそうそういないし」
「そうですか、いい意味で、ですか」
「そのままいってくれたら」
私が思うにです。
「きっといいようぼくになってくれるからね」
「そうですか、いさんでいきますね」
「けれど本当におみちに熱いわね、阿波野君って」
このことはつくづく思います。
「どうしてそこまでなったのかね」
「ああ、僕が普通のお家の子だからですね」
「本当に教会とか布教所のお家の子じゃないのよね」
このことが気になって確かめました。
「そうよね」
「はい、父親はサラリーマンで母親が公務員で」
「本当に普通のお家ね」
「親戚にもそうした人いないです」
「確か大叔母さんがようぼくなのよね」
「天下茶屋の方の」
大阪の西成の方のというのです。
「そこの人で」
「その方が物凄く立派な方なのかしら」
「はい、凄く」
はっきりとした返事でした、そしてその返事を出す表情も強いものでした。
「僕にとってはもう一人のお祖母ちゃんで、いえもう一人の大叔母さんもですね」
「お祖母さんが二人いる様なものなのね」
「父方の祖母はまあ置いておいて」
物凄く嫌そうな、汚いものを見てお話する目と声での返事でした。もう私はここで阿波野君がその父方のお祖母さんが嫌いなことがわかりました。そしてもっと言えば超が付く位嫌いということを。阿波野君は嫌いになった相手は徹底的に嫌ってそして止まらないからです。
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