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コワモテ教師の正体
第三章

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 一件落着となった、生徒達は桐生の行動と発言を見て彼は口喧しく厳しいが実は自分達のことを心から思っている先生だとわかった。
 それで桐生を認め慕う様になったが。
「平穏の奴生徒達見捨ててか」
「自分は真っ先に体育館の倉庫に駆け込んでいたのね」
「しかも倉庫に鍵までかけて」
「跳び箱の中に隠れてガタガタ震えていて」
「終わってから掃除に来た生徒が見付けたらしいけれど」
「跳び箱の中にずっといたらしいわね」
「不審者が捕まっても」
 生徒達は彼のことも知った。
「普段あれだけ威張り散らして」
「それで暴力も振るうのに」
「いざってなればそうかよ」
「自分だけ逃げる奴なのね」
「生徒を見捨てて」
「そのうえで」
「最低だな」  
 自然とこの言葉が出た。
「もうあいつの言うことは聞かないぞ」
「誰が聞くのよ」
「桐生先生は怒るだけじゃないってわかったけれどな」
「平穏は違うわね」
「只のイキリだったんだな」
「自分より力も立場の弱い相手に暴力振るってるだけの奴ね」
「誰がそんな奴相手にするか」
 生徒達はこう言ってだった。
 以後平穏が何を言っても振り向かなかった、それどころか。
「先生あの時何処にいました?」
「体育館の倉庫っていて何かあります?」
「いて楽しいんですか?」
「俺達はどうなってもいいんですね」
 彼が何か言うと口々に馬鹿にした笑みで言うのだった、そして。
 もう誰も平穏の言うことは聞かない様になって挨拶もしなくなった、それどころか見れば馬鹿にした笑顔を向けたり舌打ちをして。
 相手にしなくなった、それでだった。
 平穏は学校で完全に孤立した、しかし厚顔無恥にも学校に留まり続けたが自然と毎晩飲んだくれる様になり。
 酒で身体を壊して急死した、すぐに葬式となったが生徒は誰も来なかった。それどころか彼が死んだと聞いて誰もが喜ぶ程であった。


コワモテ教師の正体   完


                   2021・9・20
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