第三章
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それで皆身構え震えた、そして。
男はそのクラスに来た、信じられない力で教室の扉鍵をしていた筈のそこを無理にこじ開けてだった。
バリケードを払ってきた、生徒達はこのことに驚いた。
「何だあの力!?」
「やばいだろ」
「まさか覚醒剤打ってるからか!?」
「そういえば覚醒剤打つと色々リミッター外れるっていうけれど」
「そのせいで?」
「それであの力?」
男は机や椅子のバリケードもこじ開けんとする、生徒は誰もが覚悟を決めた。だがここで。
桐生が動いた、そしてだった。
「生徒に手を出すことは許さん!」
「!?」
「喰らえ!」
バリケードをこじ開けて中に入ろうとする男にだった。
突進して柔道の当身を浴びせた、そこで動けなくし。
まずは大外刈りを浴びせた、そこから。
ナイフを持っているその手に腕十字をかけた、そうして男の腕をここで折ってだった。
その痛みで気絶させた、そこで通報を受けて駆け付けて来た警官達に話した。
「今取り押さえました」
「そうですか」
「ですからすぐにです」
「逮捕します」
「後はお願いします」
こう言ってだった。
桐生は気絶させた侵入者を警察に引き渡した、幸い怪我人は誰もおらず一見落着となった。
生徒達はその彼を見て唸った。
「普段は口喧して怖いけれどな」
「やる時はやる人なのね」
「それで生徒のことを思ってくれる」
「そんな先生だったのね」
桐生のことがわかった。
「平穏とは全く違うわね」
「あいつ何でも自分だけ隠れてたそうだな」
「真っ先に体育館の倉庫に隠れて」
「侵入者が来たってわかったら」
「その時グラウンドで授業して」
「真っ先に何か出来たのに」
「自分だけ逃げてな」
そうしてというのだ。
「ガタガタ震えてたらしいわね」
「普段は桐生先生みたいに威張ってるのに」
「実はそんな奴だったのね」
「桐生先生と全く違うな」
「そうね」
この教師は以後誰からも相手にされなくなった、そして。
桐生は生徒達から慕われる様になった、生徒達は彼の言うことは何でも素直に危機彼を慕う様になった。だが。
桐生の態度も表情も変わらなかった、相変わらず厳しく口喧しかった。だがもう生徒達は彼を嫌うことはなかった。誰一人として。
本当のゴリラ 完
2021・9・20
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