第10節「迷奏の序曲」
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「ガリィ……」
チフォージュ・シャトーに戻ったガリィに、キャロルは睨むような視線を向けていた。
ギアを破壊出来なかった事に、少々苛立っているらしい。
「そんな顔しないでくださいよ。ロクに唄えないのと、唄っても大したことない相手だったんですからッ!あんな歌をむしり取ったところで、役に立ちませんて」
「自分が作られた目的を忘れていないのならそれでいい……だが──」
ふとキャロルは、初めて響と対峙した時の会話を思い出す。
“人助け”──その言葉が、特にキャロルの心を苛立たせた。
(全力のあいつを叩き潰さなくては意味が無い。世界が滅ぶ土壇場で、いつも奇跡を起こしてきたあいつを叩き潰さない限り、オレは──)
「次こそはあいつの歌を叩いて砕け。これ以上の遅延は計画が滞る」
「レイラインの解放──わかってますとも。ガリィにおまかせですッ!」
「……お前に戦闘特化のミカをつける。いいな?」
「いいゾッ!」
「そっちに言ってんじゃねーよッ!」
元気よく手を挙げるミカ。次の戦いが彼女の初陣に決定した。
「なら、僕も同行させてもらっても?」
「ノエルか。何が目的だ?」
ナイフを弄びながら玉座の間にやって来たのは、キャロルと瓜二つの外見をした青年ノエル。
彼は弄んでいたナイフを光にかざしながら、丁寧な口調で応えた。
「キャロル、あなたの計画に必要なのはシンフォギア装者だけ。そうでしたよね?」
「ああ。それがどうした」
「理論的には確かかもしれませんが、なにぶん前例のない計画です。どうせなら、確実性は上げておきたいとは思いませんか?」
「それはつまり、伴装者の奴らも計画に組み込むと?」
「ええ。そのついでに、つい今しがた完成したこいつを試しておきたいのです」
そう言ってノエルは、手に握ったナイフを顎で指す。
キャロルは暫く考え込むと、静かに口を開いた。
「いいだろう。お前に任せる」
「ええ。必ず結果を出しますとも」
恭しく礼をするノエル。
腰のホルダーに挿した彼のナイフには、赤黒いオーラが宿っていた。
ff
「これ、君のガング──」
「わたしのガングニールですッ!これは、誰かを助けるために使う力──わたしが貰った、わたしのガングニールなんですッ!!」
「………………」
マリアから手渡されたガングニールを、奪い取るように掴み、握り締める。
まくし立てるような言い方になってしまった事に気づき、響は静かに謝罪する。
「……ごめんなさい」
皆を守るため、ボロボロになってまで戦ったマリア。
両目の端と口角から血を流しながら、彼女は響を真っ直ぐに見据えると、彼女の二の腕を掴みながら強く告げ
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