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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百三十一話 大晦日も二人でその十

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「あれが」
「普通は違うよね」
「一年の終わりの最後のイベントでね」
「それ聞いていよいよ今年も終わりで」
「新しい年がもうすぐはじまるって思うわね」
「というか大晦日そんなに早く寝ないし」
 大抵の人はそうだと思う。
「それで寝られないとかもね」
「ないわね」
「もうそれが五月蠅いなら」
 除夜の鐘、百八の煩悩を祓うのが嫌な人はだ。
「よっぽど業が深いんだろうね」
「だからクレーマーなのかしら」
「そうかもね、業が深くて」
 その為にだ。
「クレームばかり言ってるんだよ」
「クレームの為のクレームね」
「そうしてるんじゃないかな」
「嫌な人達ね」
「うん、人間何かに文句言ってると」
 それが他人から見ればとんでもなく的外れなものでもだ。
「何かを見抜いて指摘して訂正させられる自分頭がいい、偉いとかね」
「思うのね」
「勝手にね」
 まさに自分の中ではだ、そしてこんな人は自分しかないものだからもうそれで満足して終わってしまう。
「だからね」
「それでなのね」
「そう、だからね」
 それでだ。
「言うんだ」
「そうなのね」
「そんな人達相手にしたら駄目だよ」
 結論はこれに尽きた。
「大勢の人の公共のことを考える」
「それが第一よね」
「うん、それが出来ないと」
 それこそだ。
「民主主義じゃないよ」
「そもそもね」
「だから本当に八条寺が今も除夜の鐘鳴らしてくれるのは嬉しいよ」
「そういうことね」
「じゃあその鐘の声を聴きに」
「九時半かな」
 僕は香織さんに出発の時間のことも話した。
「大体」
「その時間になったら」
「もうね」 
 その時にだ。
「行こうね」
「わかったわ、じゃあね」
「その時間にね」 
 こう話してだった。
 僕達は食堂を出た、他の皆もそれぞれ食堂を後にしていった。皆が皆別の道で大晦日に向かっていた。
 自分の部屋に戻ろうと思った、けれど。
 それを変えて書斎に入った、そこでまた坂口安吾を読んだ。すると書斎に畑中さんが来て僕に声をかけてくれた。
「出られるまでは」
「はい、ここで本を読みます」
「大晦日のテレビはご覧になられないですか」
「紅白はスマートフォンで聴いています」
 本を読みながらそうしている、スマートフォンは今座っている席にある。
「ですから」
「それでなのですね」
「いいです、紅白はいいですけれど」
 それでもとだ、僕は畑中さんに少し苦笑いになって答えた。
「それ以外は」
「大晦日のテレビ番組も面白くないですか」
「はい」
 正直に言うとだ。
「そう思います」
「だからですか」
「お正月もですね、というかテレビは」
 今やだ。
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