第三百三十一話 大晦日も二人でその三
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「鴨と葱もね」
「鴨なんばもいいわよね」
「だから無茶苦茶美味しくて」
その為にだ。
「あっという間にね」
「食べちゃったの」
「だからね」
それでだ。
「おかわりするよ」
「そうするのね」
「二杯目は天麩羅にしようかな」
天麩羅そば、それにだ。
「そちらに」
「天麩羅そばもいいわね」
「お蕎麦にもおうどんにも合うよ」
天麩羅、それはだ。
「それも最高にね」
「そうよね」
香織さんも同意してくれた、見れば香織さんのお蕎麦はまだ半分ある。
「天麩羅食べて麺も食べたら」
「最高だよね」
「ええ」
僕の言葉に頷いてくれた、それも笑顔で。
「私も好きよ」
「だから二杯目はね」
「そちらね」
「天麩羅そばにするよ。それでまだ食べられたら」
その時はだ。
「揚げでね」
「たぬきそばね」
「関西で言うね」
「それを食べるのね」
「きつねそばじゃなくてね」
この言葉は笑って話した。
「関西ではたぬきうどんときつねそばはないから」
「たぬきそばよね」
「揚げを入れたお蕎麦はね」
それはだ。
「きつねそばだよ」
「そうよね」
「それも食べようかな」
食べられたらだ。
「美味しいし」
「三杯食べるのね」
「天麩羅そば三杯だったら」
笑ってこうも言った。
「坊ちゃんだね」
「あっ、夏目漱石の」
「あの小説でその場面あったね」
「あのお店今もあるのよね」
「松山の観光場所の一つにもなってるそうだよ」
今もあってだ。
「何でもね」
「あの小説は有名だし」
「うん、坊ちゃんは知らない人の方がね」
教科書に出ているだけにだ。
「少ないよね」
「そうよね」
「夏目漱石の作品の中でも」
近代日本最大の文豪と言われているこの人の作品の中でもだ。
「とりわけ有名な作品の一つだからね」
「吾輩は猫であるとね」
「同じ位にね」
そこまで有名な作品だ。
「こころかも有名だけれど」
「あの作品もそうよね」
「漱石の作品は有名な作品が多いけれど」
伊達に近現代の日本最大の文豪と言われている訳じゃない。
「けれどね」
「坊ちゃんは特によね」
「有名な作品だからね」
それこそ吾輩は猫であると並んでだ。
「それで作品の舞台の松山も知られて」
「そのお店もよね」
「有名だよ」
主人公が天麩羅そばを三杯食べたお店としてだ。
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