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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第98話:英雄とは
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クラッチネイルが振り下ろされる。完全に油断していたウェル博士はそれに気付くのが遅れ、あわやと言う所で透により救われた。コネクトの魔法でカリヴァイオリンだけをメデューサの攻撃の射線上に出し、ウェル博士が切り裂かれる事を防いだのだ。
「え、なぁ――!?」
ウェル博士は何故透が自分を守ったのか分からなかった。彼と自分は敵同士、助ける事にメリットなどない筈なのに。
「ちぃ、何故邪魔をする!? お前達にとっても敵だろうが!」
訳が分からないのはメデューサも同様だった。透達からしてみれば、メデューサの行動は寧ろ2人を助ける行為になる。勿論メデューサの狙いはソロモンの杖だし、ウェル博士を始末した後は消耗した透とついでに散々邪魔してくれたクリスも始末するつもりだった。
だが今この瞬間に、ウェル博士を助ける理由はな、それがメデューサの考えであった。
2人の困惑を、重いギアで何とかノイズの迎撃をしているクリスが鼻で笑った。
「はっ! お前らに分かる訳ねえだろ! お前らみたいに自分達の事しか考えてない奴に、透の事が理解出来る訳がねえ!!」
透は何時だって誰かの為に戦ってきた。子供の頃はクリスの為に、大人達の暴虐と戦い続け、そして今はなし崩し的に手に入れてしまった魔法の力で誰かを守るために戦ってきた。
それは先程の、海上での戦いが何よりも雄弁に物語っていた。透は他のメイジと間違えて自分を攻撃してくる米兵達を、例え彼らに攻撃されながらでも決して反撃する事なく守り続けたのだ。
例え自分が傷付こうとも、誰かの為に戦い続ける事が出来る。クリスにとって、透はどんな物語に出てくる人物よりも英雄として相応しい人物であった。
ウェル博士の始末には失敗したメデューサだが、それでも一つは成果をと一瞬の隙を突いてウェル博士の手からソロモンの杖を掠め取った。
「あぁっ!? 返せッ!!」
「ふん!」
「ギャフンっ!?」
取られたソロモンの杖を取り返そうとするウェル博士だったが、メデューサが軽く腕を振るうとそれだけで殴り飛ばされ、壁に叩き付けられて意識を失う。
動かなくなったウェル博士を一足先に始末しようと、メデューサがスクラッチネイルを再びウェル博士に叩き付けようとした。
それをノイズを殲滅した透が妨害した。
「ッ!」
「ちぃ、二度までも――!?」
「悪いが、気に食わない奴でも死なれる訳にはいかないんでね!」
透の様な気高い理由ではないが、二課としてもウェル博士は重要参考人として確保する必要がある。故に、ここでメデューサに倒される訳にはいかなかった。
クリスがハンドガンに変形させたアームドギアでメデューサに接近しながら銃撃する。メデューサはそれを防ぎつつ、接近してきたクリスにスク
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