荒魂
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てくれないかな?」
「とうけ……どこ?」
「刀剣類管理局。私が連絡すると、多分連れ戻されちゃうから……」
「? なんか、話が全然読めないけど……まあいいや」
ハルトはそう言いながら、スマホに検索をかける。あっという間に出てきた役所に、ハルトは電話しようとすると……。
「面白い」
突如投げかけられた勇ましい声に、動きを止めた。
見れば、ガタイがいい男が歩いてきているところだった。
二月の寒さがまだ抜けない。ハルトと可奈美も、上着は手放せないのに、彼に至ってはタンクトップだけだった。
「面白い化け物がいるな!」
彼は、ハルトと可奈美の視線にも構わず、ずんずんと進んでいく。
ハルトの肩を突き飛ばし「えちょっと!」、可奈美の腕を弾き「うわっ! え!? 何で!?」、彼は荒魂へ手を伸ばす。
「アンタ、何してるんだ? それは危ないものじゃ……」
「五月蠅い!」
男がノータイムでハルトへ裏拳を放つ。頬を殴られたハルトは、そのまま転がる。
「痛っ! 何するんだ!?」
声を尖らせたハルトは、男性の豹変に言葉を失う。
顔に現れた、無数の紋様。不気味さを醸し出すそれが何なのか、ハルトはイヤと言うほど知っている。
「ファントム!」
「えっ!?」
可奈美の驚愕の声が終わるより先に、男性がにやりと笑む。
「ほう……俺たちを知っているのか」
その体は、どんどん変異していく。やがて、海老のような顔を持つ、紅の体を持つ怪物へ変化していった。
ゲートと呼ばれる人が絶望した時、その中より産み落とされる怪物、ファントム。その、筋肉の中では最強と呼ばれる部類の怪人、バハムート。
「ファントム! 写シ!」
その姿を見たと同時に、可奈美が千鳥を抜き、斬りかかる。
だが、バハムートはそれを左手だけで掴んで受け止めた。
「そんなっ!?」
「残念だったな……はっ!」
さらに、可奈美を襲うハッケイ。それにより、可奈美の体は大きく吹き飛ばされ、地を転がった。
「可奈美ちゃん!」
「大丈夫……! それより!」
可奈美はバハムートを指差す。
見て見れば、バハムートの体に、荒魂の体を構成していた液体が流れていく。
やがてその姿に、マグマらしき模様が追加されていく。
それはまさに。
「荒魂……いや、ファントムでしょ……?」
「これはすごい! まさか、ここまでの力が手に入るとは……!」
ファントムと荒魂。二つの災厄が融合した姿だった。
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