荒魂
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ころから、ハルトの姿が変わっていった。
どこにでもいる、フリーターの青年、松菜ハルトから。
黒いローブの上に、赤いルビーの宝石を散りばめている姿へ。顔はルビーの仮面となり、人間の姿とは言えない。
この姿こそ、指輪の魔法使い、ウィザード。
ウィザードは、さらに慣れた動きで別の指輪を右手に使う。再びベルトを動かすと、また別の魔法詠唱が始まった。
『ルパッチマジックタッチ ゴー ルパッチマジックタッチ ゴー』
その音声に合わせ、ウィザードは指輪を再びベルトに重ねた。
『コネクト プリーズ』
すると、ウィザードの手元に小さな魔法陣が現れる。手を突っ込むと、中からベルトと同じく銀の武器が現れる。
「可奈美ちゃん! 避けて!」
銃口の上に刃が収納されている銃。ベルトと同じく銀で作られているそれを、ウィザードはクルクルと回転させながら発砲した。
「!」
ウィザードの号令に、可奈美は一度大きくジャンプ。
可奈美が斜線上からいなくなったと同時に、ウィザードの銀の銃弾が荒魂へ被弾。その全身を大きく震わした。
「今だ!」
動きが阻まれ、大きく後退するムカデ型の化け物。その隙を逃さず、ウィザードは銃___ウィザーソードガンを操作し、剣に変形させる。
同時に、上空から落ちてくる可奈美もまた、その白く染まった体の光を赤く染めていく。
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』
ウィザーソードガンに付けられている、手の形のオブジェ。親指部分を開くと、四本の指も同じく開いた。すると、ウィザーソードガンよりその場の雰囲気に合わない詠唱が流れ出す。
さらに、そこへ左手のルビーの指輪を当てる。ちょうど、握手の形になるように。
すると、その銀の刃へ、紅蓮の炎が宿る。
『フレイム スラッシュストライク』
魔法の炎剣を振り回し、ウィザードは身構えた。
そして。
『ヒーヒーヒーヒー』
「迅位斬!」
二つの深紅の斬撃が、荒魂の巨体を切り裂く。
一度静止した荒魂。やがて、斬られたことを思い出したかのように、切断面から崩れていった。
ズシンと重い音を立てる荒魂。その姿は、やがて徐々に黒澄み、液体のように溶けていった。
「えっと……」
ウィザードは変身を解除しながら、赤黒いその破片を見下ろす。
「これどうする? このまま放置したら不味そうな奴だけど……」
「ちょっと待ってて。所管の管理局に……ああ、私が連絡したらまずいかなあ?」
可奈美はスマホを操作しながら項垂れた。
「どうしたの?」
「ほら、私今見滝原を離れられないから……ハルトさん、悪いけど刀剣類管理局に連絡し
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