5章
節分フェア
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傾げた。
もういっその事ありのままのことを言ってしまおうかと決断するよりも先に、青山さんが割り込んだ。
「今日のラビットハウスは最高ですね。このいかがわしさ、フルールにも負けてません」
「「ありがとうございます!」」
「いや喜んでどうするの二人とも!」
「だって、褒められたんだよ? ね? 可奈美ちゃん」
「うん! 誰だって褒められたらうれしいよ」
「オッケー分かった君たちその衣装のまま外出してきなさいついでにそのままチラシ配りでもしてきなさい。俺が何を気にしてるのかがよぉおおおおく分かるから。はい、いつものコーヒーです」
節分フェアの二人に注意ばかりしているせいで完全に忘れていた。
ハルトは、いつものコーヒーを青山さんの机に置く。
「ありがとうございます〜」
ニコニコ笑顔で、原稿用紙を取り出す青山さん。職業小説家というところで、しょっちゅうラビットハウスにも来てくれている。
だが、ハルトがコーヒーを青山さんのテーブルに置いた瞬間、ココアが「違うよ!」と叫んだ。
「な、何?」
「今日は節分だよ! お客さんにも、節分なことをやってもらわないと!」
「節分なことってなに? そのいかがわしい衣装で十分じゃないのお姉様」
だが、ココアの暴走は止まらない。
どこからか豆の箱を取り出したココアは言った。
「豆まきやろうよ!」
「良し分かった。可奈美ちゃんもココ……お姉様もそこに並ぼう。俺と青山さんで片っ端から退治してやる」
「さあハルトさん! 鬼は外!」
「何で鬼が豆投げてんの!?」
そう言って、ラビットハウスには豆がまかれ始めた。
ハルトという鬼一人に対し、豆を投げるのは三人。
狭いラビットハウスの中だが、そのまま易々と退治されるのは、ハルトにとっても面白くない。
「仕方ない……少し本気でやりますか……! 変身!」
ハルトはそう宣言して、頭にかけている鬼の面を顔に下ろす。ぐっと狭くなった視界だが、それでも豆を投げる動作に入った可奈美たちの姿は捉えられる。
もっとも、ラビットハウスの可動範囲の不自由さが、普段のハルトから動きの半分さえも発揮できなくなっていく。
結果、ハルトの体にはあれこれと豆をぶつけられ、ハルトは悲鳴とともに退治されることになった。
だんだん、ハルトもそれなりに本気になってくる。
体を捻らせて豆をよけ、ハリウッド顔負けの身体能力に、ココアと青山さんは拍手を送った。
「すごい……ハルトさん、結構動けるんだね」
「そのままやられるのも癪だからね。せっかくだし、鬼側にも豆撒かせてよ。鬼は内、福は外ってね!」
「ハルトさん、完全に鬼になりきってる!」
「よ〜し! 青山さん、私たちも頑張ろう! 妹である可奈美ちゃんを守るために
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