5章
節分フェア
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た。
頭に角を模した神の筒を乗せるのはまだいい。鬼の仮装をするというのだから、それは自然だろう。
節分フェアをやりたいとココアが宣言したときから、何となく嫌な予感はしていた。黄色い虎柄の、まさに鬼といった感じの衣装。へそを出した上、上は左肩だけにしかかかっていない。結果、右肩から腕にいたるまでの全体の白い肌が露わになっている。
しかも、その虎柄は下着を着ていないのか、体形まで外からくっきりと見えてしまう。ラビットハウスに来てから早五か月、彼女は異性の目に無関心すぎではないだろうか。他にも、外寒いのにもし出ることになったらいいのかとか、警察に見つかったらオーナーが怒られるとか、もし男性客が来たらそのまま対応するつもりなのかとか、その他もろもろツッコミたいことが山ほどあった。
そんなココアへの言葉をぐっと飲みこみながら、ハルトはカウンターから声をかける。
「いらっしゃいませ、青山さん。いつものでいいですか?」
「お願いしま〜す」
そう言いながら席に着く常連客の小説家、青山ブルーマウンテン。おそらくペンネームであるが、本名は聞いたことがなかった。
青山さんは、ココアをじっと見つめており、「あらあら……」と改めて観察している。
「ココアさん、改めて見てもやっぱり凄い衣装ですね……」
しゃがんだ青山さんは、ごく自然にココアのショートパンツの裾を摘まみ上げた。
思わぬところに露わになったココアの太ももに、ハルトは小さな悲鳴とともに顔をそむけた。
「うわわ! 青山さん大胆!」
「少しは嫌がってよ!」
ハルトの注意も、ココアは「えへへ」と受け流す。
ハルトはそのまま、注意の矛先を続けている青山さんへ向けた。
「青山さんも! そういうことは、このお店でやらないでください!」
「ええ?」
「お待たせ!」
だが、ハルトの注意が終わるより先に、ココアと同じ衣装がもう一人現れた。
「この服も結構可愛いね! 今日だけは千鳥も持ってくれば、棍棒にも見えてもっと似合うんじゃないかな?」
「……可奈美ちゃんまで来た……」
ハルトはため息をつきながら、同じく鬼の虎柄の服を着たココアを睨んだ。
「ハルトさん! どう? この服似合うでしょ?」
可奈美は腰に手を当ててその姿を見せつける。
ココアと同様、鍛えられた肉体。
だが、ココアとは違い、本来まだ中学生であるところの彼女は、色々と危ない。ココアと比べて少し褐色になっていたりとか小ぶりな体とかココア以上に無防備だとかで、ハルトは何とか可奈美に服装を戻してもらうように逡巡した。
「可奈美ちゃん、似合うのはいいけど、やっぱりこの衣装は目のやり場に困るんだよね」
「どこが?」
ココアと可奈美、二人の鬼は揃って首を
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