5章
節分フェア
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?」
「今日から節分フェアやりたいんだって」
「節分ねえ……喫茶店なんだし、雰囲気合わなさそうなもんだけどね」
「そんな固いこと言わないの。こういうお祭りは皆でやるから楽しいんだよ!はい、ハルトさん。これお願い」
「ん?」
言われるがままにハルトが可奈美から受け取ったのは、赤い丸紙だった。中心から上の部分には丸い覗き穴が開いており、頭頂部には二本の角らしきものが生えている。
「これって……もしかして……」
「ハルトさん、鬼やってね」
可奈美がにっこりと笑顔で言った。
「え? お、俺?」
「こういうのは男性陣がやるって相場が決まってるからね」
「まあ構わないけど……ココアちゃんにもやらせてあげなくていいのかな? ほら、チノちゃんに喜んで豆ぶつけてほしそうじゃない?」
「心配ないよ! お面も一杯あるから! あ、あと、色々飾りつけも今のうちにやっちゃおう?」
可奈美は紙袋から鬼の仮面を両手に持ちながら言った。
洋風のラビットハウスに和風の鬼ってどうなんだろうかと思いながら、ハルトは可奈美から鬼の仮面を受け取った。
「……」
「ハルトさん?」
「折角だし……こうしてみたらどうだろう」
最初の鬼の仮面をつけたハルトは、その角部分にまた鬼の仮面をつけた。
「三つ首の鬼」
「うわっ! 祓わなきゃ」
「そう言ってナイフを御刀みたいに人に向けるのは止めなさい!」
「あはははは! 冗談冗談!」
可奈美は手を振りながら言った。
「それより、早めに準備しておこうよ。私は飾りつけやるから、ハルトさんは先に顔を洗ってきて」
「……」
「え? ちょっと、ハルトさん? どうしたの?」
「果たして可奈美ちゃんに飾りつけを頼んでいいものかと」
「ちょっとお!」
「だって、君いまでも散らかってるんでしょ? 部屋」
「少しは片付けてるから! ……ほんのちょっとは……?」
結局、反対する可奈美を押し切り、ラビットハウスへ和風のアレンジをするのは、ハルトの仕事になった。
一方のココアはというと。
ラビットハウスの看板娘、香風智乃を起こそうとして、その寝顔を見てうっとりとしているところを、準備終了後に発見された。
「ラビットハウス! 節分フェアだよ! ウェルカムかもーん!」
ココアのその言葉から、節分フェアは始まった。
質素な木造喫茶店であるラビットハウスは、あちらこちらに鬼と豆箱の飾りが付けられている。
自らも鬼のような服装をしながら、入って来た常連客を案内するココア。
「あらあら。ココアさん、何だかいかがわしいお店みたいですね」
穏やかな笑顔でとんでもない感想。
その感想が出てくるのも無理はないと、ハルトは思っ
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