第二十一話 勉学もその十
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「それで正義の顔でだよ」
「今と一緒ですね」
「そうだよ、それで他の人の疑惑を追及していて」
「自分もですか」
「逮捕されたんだよ」
「それでもですか」
「ああして平気な顔で言えるんだ」
他の人のことをというのだ。
「大きな政党に移って」
「何か色々酷い人なんですね」
「あれはとんでもないと言っていい人だよ」
それこそというのだ。
「先生はそう思ってるよ」
「それであの人はですか」
「逮捕されるってことは大きいね」
「はい」
咲はそれはとすぐに答えた、彼女はまだ警察の厄介になったことはないがそれでもこのことはすぐにわかった。
「とても」
「けれどだよ」
「ああしてですか」
「そんなことは知らない顔でね」
それでというのだ。
「ああして今もだよ」
「正義の様に言えることは」
「恥を知っているなら」
「出来ないですか」
「あれが恥知らずって言うんだ」
まさにという言葉だった。
「厚顔無恥って言うんだ」
「そうですか」
「いいかい、恥を知るんだ」
先生は咲の目を真剣に見て言った。
「恥を恥と思わなくなったら」
「ああなるんですね」
「そうならないとああはならないんだよ」
「あそこまで酷くはですか」
「そしてそうなった時は」
恥を恥と思わなくなった時はというのだ。
「人は何処までも腐るんだ」
「何処までもですか」
「その時にこそ最も恐ろしい腐敗がはじまると言うよ」
「どんな腐敗かは」
「それがあの人達だよ」
まさにというのだ。
「生き証人だよ」
「何か凄いですね」
「悪い意味でね、小山さんは恥を知るんだ」
「そうしてですね」
「自分を顧みて。時々でも」
「生きることですか」
「そうするんだ、いいね。学校の勉強も大事だけれど」
それでもというのだ。
「それ以上にだよ」
「こうしたことはですか」
「大事なんだ」
「人間としてですね」
「その通り、人間で大事なことを学ぶことも学校じゃ大事なんだ」
勉強だけではないというのだ。
「人生そして人間をね」
「勉強だけじゃなくて」
「そう、そして世の中もだよ」
こちらのこともというのだ。
「学ぶんだ」
「そうして社会に出てですね」
「いい人生を歩む為の場所なんだ」
「そうですか」
「じゃあそういうことでね」
「これで、ですね」
「僕の話は終わりだよ」
咲に微笑んで話した。
「色々話したけれどね」
「有り難うございました」
「お礼はいいよ、兎に角恥を知ることだよ」
何といってもというのだ。
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