後編
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ではなく、両方の世界にまたがって存在してるんじゃないかと思うんだ。」
「二つの世界にそれぞれのニュクスがいるんじゃなくて、どっちの世界にいるニュクスも同じ一つのニュクスっていうこと?」
「ニュクスっていうのは象徴的な存在で、実態は人が滅びを望む気持ち、『人間の絶望』とでもいうべきものなんだろう。それは物凄く大きいもので、片方の世界で勝ったくらいでは変えられないのかもしれない。僕らが両方の世界で勝つことが勝利条件なんじゃないかと思うんだ。」
「世界を変えるためには、両方の世界から変えなきゃいけないってことか・・・。」
私の中で何かがきれいに収まった。
「いいね、その考え方。気に入った。」
真実はわからない。でも『彼』の言うとおりなのだとすれば、『彼』とは別の世界にいたとしても、力を合わせて同じ敵と戦っているっていうことになる。それならば、私はまだまだ頑張れる。
「なんだか元気が出てきたよ。君とこうして直接話すことも必要なことだったのかもしれないね。」
私はにかっと笑って見せた。彼も笑い返してくれる。
「それじゃあ、とりあえず目の前の敵から何とかしよう。」
「よし、行こう!」
並んで階段を上りかけたところで、背後から「待て、二人とも。」と呼ばれた。
「真田さん、みんな・・・。」
「大丈夫なんですか?」
振り向いた私たちは、口々に声をかける。
美鶴さん、真田さん、順平の3人が下から階段を上ってきた。
「ゆかり のおかげで何とか動けるようになった。」
美鶴さんが微笑みを浮かべて言った
「でも逆に ゆかりっち が回復魔法のかけ過ぎで、精神力を使い切ってのびちまってさあ。」
「体力的に限界だった天田やコロマルと一緒に置いてきた。まあ、じきにアイギスも復活するから1階は大丈夫だろう。ところで、その様子だとお互いが見えているようだな。」
美鶴さんの問いかけを受けて、私と『彼』は一瞬目を合わせてからうなずいた。
「ええ、一緒に戦ってたら、どういうわけか急に見えるようになってきて・・・。」
「そうか、まあ理屈で考えてわかるものではないのかもしれないな。」
私の不思議そうな顔を見て、美鶴さんがそう言った。
「いいじゃないか。お互いが見えていた方が、コンビネーションも取れる。戦いには有効だ。戦力UPしたと思えばいい。」
真田さんは発想はいつもシンプルだ。
「真田さんたちは戦えそうなんですか。」
「ああ、もう大丈夫だ。安心しろ。俺たちもお前らと一緒に行く。」
真田さんは両拳を合わせて復活をアピールして見せた。
とりあえずみんなの無事が確認できて、私もほっとした。
「ニセ幾月の話は、山岸から聞いた。」と美鶴さん。
「ひでーよな。人の心の一番デリケートなとこにつけ込みやがって。本気で腹立ったぜ。」
「俺も今回ばかりは許せん。
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