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ー 頑張らなきゃあな」と、昇二も言っていたが、昨日とは、違って、みんな明るかった。
その時、酒の配達で、ジローさんが来た。
「おお 学生さん 手伝いか 俺も、追加注文を受けてな 順調みたいだな あんたも、真面目だなぁー 中道さんの娘さんの為か?」
「そんなんじゃぁないですよ」
「わかっているって 男は、ほれた女には、弱いからな 頑張れよ 俺も、今度の休みにはガキ連れて、寄せてもらうよ」と、言って帰って行った。
5時のオープンには、直ぐに満席になって、6時頃には、表に、数組が並び始めた。そして、美鈴は20分以上待たせるようだったら、スープを紙コップで配ってと、僕達に指示をしていた。
結局、最後の客が帰ったのは、10時閉店のはずが、11時近かった。ひっきりなしに来客があって、遅い時間には、女性の独り者とかカップルが多かった。
「みんな 今日はありがとうございました。舞依ちゃんも良かったわよ 子供さんにも、ちゃんと接してくれて」
「店長 いろいろ失敗したけど 明日から、もっと、頑張ります」
「うん 頑張ってね お父さん 今日ね 何人かのお客様が やっぱり、ナカミチは美味しいわって このお店が出来てうれしいって 言ってくれたの お父さんのお店、まだ、覚えてくれていたのよ 私 涙出てきちゃった」と、美鈴はお父さんの手を握っていた。
「そうか そんなことがあったのか」と、短く答えていたが、僕には、真意は解らなかった。
「松永さんがね この場所にこだわったのが、わかった」と、美鈴が続けていた。
次の日の日曜日、昇二が朝、来た時、第一声が
「あそこのシャルダン 折り込みチラシ入ってて ステーキセットだけ飲み物付きで3割引きだってよ 今日と明日の2日間だけの緊急スペシャルだってよ 完全に嫌がらせだよ」
「そんなの関係ないわ ナカミチを愛していただけるお客様に来て下さるんなら」と、美鈴は涼しい顔をしていた。僕は、本当に強くなったなと、そして、別人の美鈴のように感じていたのだ。
10時オープンの後は、さっぱりだったが、1時間ほどすると、徐々に席が埋まってきた。そして、昼過ぎる頃、外で待つ人達もあって、僕と昇二はやっぱりスープを運んでいた。その日、お昼の営業が終わったのは、3時の予定が1時間すぎていた。そして、5時の夜のオープン前からも、2組のお客が来ていて、急遽、早い目に店を開けたのだ。
この2日間は順調だったが、美鈴は来週からが、本当の勝負よねと言っていた。それに、僕達も月曜からは、そんなに手伝えない。
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