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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百三十話 年越し蕎麦その十三

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「それは」
「そうですね」
「はい、あちらでは」
「あちらはお蕎麦ですからね」
 おうどんはあってもだ。
「主は」
「左様ですね、ですがここは神戸で」
「関西だからですね」
「そうしたこだわりもです」
 これもというのだ。
「特にです」
「なくてですか」
「はい、普通にです」
「お茶を飲んでもいいですね」
「あと噛んで下さい」
 小野さんはこのことは強く言った。
「そしてコシも風味もです」
「味わうんですね」
「おつゆと合わせて」
 それでというのだ。
「楽しんで下さい、逆に噛まないと」
「消化に悪いですね」
「そうです、お蕎麦を食べても」
 それでもというのだ。
「それが問題です」
「そうですよね」
「そうしたお蕎麦を噛まないで食べる」
「そんなことをしたら」
「本当に消化に悪いですから」
 だからだとだ、僕にお話してくれた。
「お蕎麦を召し上がっても」
「噛むことですね」
「東京ではないので」
 神戸、関西だからだ。
「そうしたしきたりもなく粋もです」
 これもというのだ。
「ないですから」
「江戸っ子の粋は東京のことですね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「そこはです」
「気にしないで」
「召し上がって下さい」
「そうさせてもらいます」
「噛まずに食べないといけない」
 畑中さんも僕にお話してくれた。
「あくまでそれはです」
「あっちのことですね」
「東京の」
「そうしたお蕎麦だからですね」
「そうして食べるのであって」
「同じお蕎麦でもですね」
「関西ですと」
 それならというのだ。
「普通にです」
「そうして食べていいですね」
「はい、噛んで」
「コシも風味もお口で味わう」
「喉ではなく」
「そうですね、しかし何を食べるか」
 ここで僕はこうも言った。
「迷いますね」
「どのお蕎麦かですね」
「鴨なんばでも山菜でも天麩羅でも」
 それこそだ。
「そうありますと」
「迷いますね」
「はい」
 種類が多いとだ。
「そうですね、嬉しい悩みですね」
「左様ですね、しかしこうした悩みは」
 畑中さんは僕に笑ってお話してくれた。
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