第三百三十話 年越し蕎麦その五
[8]前話 [2]次話
「けれどな」
「プティングはなんだ」
「それで前イギリスにいる時はずっとカレーだった」
「あそこカレー多いんだったね」
「それで朝食は食ってもな」
イギリスでは数少ない美味しいものだという。
「それでもな」
「お昼と夜は」
「カレーだったよ」
「そうだったんだ」
「それでやっていけた」
「何だかね」
「まあイギリスはそうだ」
「出店のものもだね」
フィッシュアンドチップスはあってもだ。
「どうにもなんだ」
「そうだった、けれど日本はな」
「出店もいいんだ」
「ああ、だからな」
「楽しめばいいね」
「そうしろ、色々食ってな」
「チョコバナナもだね」
「そうしろ、あと八条神宮行くんだろ」
「初詣はあそこだよ」
何といってもだ。
「僕はね」
「そうだな、じゃあお神酒もな」
元旦振舞われるそれもというのだ。
「よくな」
「飲むことだね」
「そうしろ」
こう僕に言ってくれた。
「いいな」
「そうするね」
「そう酒も飲むものだ」
「神聖なことだから」
「ああ、俺も飲むしな」
そのお神酒をというのだ。
「京都でな」
「何か口実に思えるけれど」
「酒を飲む為のか」
「そうもね」
「まあそれはある程度入っているな」
親父は笑って僕の今の指摘を否定しなかった、ここで否定しないのが本当に親父らしいと言えることだ。
「俺もそう思うさ」
「そうだよな」
「ああ、けれどな」
「それでもだね」
「飲むものだよ」
お正月に振舞われるお神酒はというのだ。
「そうするものだよ」
「それが決まりだね」
「そうさ、日本のな」
「だから飲むべきだね」
「そうだよ、それで飲んでな」
「神様を感じて」
「酒の味も楽しむんだよ」
こちらもというのだ。
「いいな」
「そうするね」
「ああ、それとな」
「それと?」
「飲み過ぎてもな」
それでもとだ、親父は僕にこうも言った。
「潰れるなよ、外だとな」
「酔い潰れるのはお部屋の中だね」
「ああ」
僕にこうも言った。
「それは」
「外で酔い潰れたら危ないしね」
「特に今は冬だろ」
「冬に外で酔い潰れたら」
「風邪じゃ済まねえぞ」
「そうだよね」
「だからな」
それでというのだ。
「外では酔い潰れるなよ」
「下手したら凍死するから」
「それはするな」
「お部屋の中で酔い潰れる」
「俺もそのつもりさ、おせち食う時におとそも飲むけれどな」
こちらもお正月に飲むものだ、おとそもお酒だが何処で飲むかで呼び名が違う。同じお正月に飲むお酒でもだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ