第三百三十話 年越し蕎麦その二
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「明日はな」
「神社に行くんだ」
「そうしてくるな」
「京都は神社多いしね」
「お寺もな」
「どっちも多いね」
「今日は金閣寺と銀閣寺にな」
この二つのお寺にというのだ。
「行ってきたぜ」
「それが行ったお寺だね」
「ああ、それで神社はな」
こちらはというと。
「平安神宮にな」
「行くつもりなんだ」
「ああ、そしてな」
それでというのだ。
「楽しんで来るな」
「お袋とだね」
「そうするな、しかしな」
「しかし?」
「いや、母さんが喜んでくれてるからな」
親父は僕に嬉しそうに言ってきた。
「何よりだぜ」
「本当にそれは何よりだね」
「ずっとな」
「お袋実家に閉じ込められていたからね」
「だからな」
「外に出られる様になって」
「それで観光も楽しんでくれてるからな」
その嬉しそうな声で言ってきた、僕に言う親父にしてもとても嬉しそうで声の調子が随分明るかった。
「本当にな」
「よかったね」
「だから俺も何よりだよ」
「物凄く嬉しいね」
「最高だよ」
こうまで言った。
「本当にな」
「それは僕も嬉しいよ、ただね」
「ただ?どうした」
「京都の冬は寒いね」
「神戸よりも寒いかもな」
親父はその寒さについても答えてくれた。
「ここは」
「京都は盆地だからね」
「冬はどうしてもな」
「冷えるね」
「夏はとことん暑くてな」
夏は夏でだ。
「冬はな」
「寒気がこもって」
「滅茶苦茶寒いんだよ」
「そうだよね」
「夏は熱気がこもってな」
そうなってだ。
「とことん暑くてな」
「冬はそうだね」
「春と秋はよくてもな」
過ごしやすいけれどだ。
「夏と冬はそうなんだよ」
「そうだね」
「だからな」
「今寒いんだ」
「相当な、雪降るかもな」
「積もらなかったらいいね」
「全くだ、けれど雪が降ってもな」
それでもという返事だった。
「俺は母さんとな」
「楽しむんだね」
「今日も明日もな」
「それで明日はだね」
「平安神宮に行ってな」
そうしてというのだ。
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