エピローグ -Nexus-
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、学校だと風紀委員で厳しいイメージがあったから意外だなあ……どんな曲かなあ 楽しみ!」
「その資金のためのバイトでもあるんだろうね。それより、前見ないと危ないよ」
だが、ハルトの心配をよそに、ココアは後ろ向きで軽いステップを踏んでいく。
「大丈夫! 私だってお姉ちゃんなんだから、これぐらい簡単にできるところ見せてあげなくちゃ!」
「それを見たチノちゃんが何て言うか甚だ疑問だけどね」
「平気平気!」
だが、そんなココアの余裕は、ラビットハウス近くの橋に差し掛かったところで崩れた。
彼女の足が、石に躓き。
「うわっ!」
「ほら言わんこっちゃない!」
ハルトは慌ててココアの手を?まえる。
「全く……お姉様、もう少ししっかりしてよ」
「え、えへへ……」
ココアは照れ隠しをしながら、頭を掻く。
「カッコ悪いところみせちゃった……」
「はいはい。今度はしっかりしてくださいねお姉様」
ハルトはそう言って、今度はココアよりも先を行く。
「早く帰ろうよ。チノちゃんも待ってるよ」
「待って」
突然、ココアが橋の真ん中で立ち尽くしている。
冬終わりの青空を、じっと見上げている。
「どうしたの?」
「うん。ちょっと……」
そう言いながら、ココアはポケットからそれを取り出した。
「何だろう? これに、呼ばれたような……」
「それは……!」
ウルトラマンになるための、白いアイテム。エボルトラスターの名をもつそれは、ひと際の光を放つと同時に、砂のように消えていった。
「……!」
「あ」
ハルトが目を大きく見開くのに対し、ココアの反応はごく小さなものだった。
薄れていくエボルトラスターの粒子を見送りながら、ココアは呟く。
「どうして……私が選ばれたんだろう?」
「……さあね」
ハルトも、静かに橋の手すりによりかかった。
「でも、何だったんだろうね? あれ」
結局、トレギアが巻き起こした事件で、ハルトは大きな貢献はできなかった。
スイムスイムを救うのには間に合わず、闇に囚われた紗夜を助けたのはココアだった。トレギアを倒したのも、ウルトラマンの協力がなければ不可能だった。
「……もう少し、あの人のこと、知りたかったな」
「そうだね。私も……最後の時だけしか、あの人のことが分からないんだ」
ココアが空から目を離さずに言った。
「でも……何でかな。一つだけ、ハルトさんに伝えてほしいって……言われた気がするんだ」
もうすぐ春になろうとする空は、まだ冷えるためか、彼女の吐く息が白い。
「俺に?」
「……『諦めるな』」
ココアの小さな声が、ハルトの耳に残った。
「名前。
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