エピローグ -Nexus-
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コアを守ってくれてありがとう。宝石のヒーローさん」
「……はい」
一月も下旬になると、新年にも慣れてくる。
そんな中、ハルトはその店の前で足を止めた。
赤いレンガをメインにした、西洋風の建物。見滝原西の木組みの街と呼ばれる地区の入り口付近にある、傷んだ家の隣。
その店に、ハルトは連れて来られた。
「あま……うさぎ……俺?」
日除けテントの上に乗せられた左読みの看板を見ながら、ハルトは顔をしかめた。
「違うよハルトさん。甘兎庵、だよ! さあ、早く入ろう!」
ココアに背中を押されながら、ハルトはその甘兎庵に入っていった。
洋風の外観とは真逆に、和風テイストが強い店内。そこへ「いらっしゃいませ〜」と応じてきたのは、大和撫子が似合う少女。
深緑の和服が、より彼女を大人っぽく見せている。
彼女の名を、ハルトは知っていた。
「えっと……千夜ちゃん、だったっけ?」
「あら? ラビットハウスさんの新しいお兄さんよね? クリスマス以来かしら?」
「そうだね。松菜ハルトです」
ハルトは会釈を返す。
すると千夜はにっこりと笑いながら、「どうぞ」とハルトたちを席へ通す。
「はい、こちらがお品書きよ」
「ありがとう。……えっと、お品書き……!?」
千夜月
煌めく三宝珠
雪原の赤宝石
「なんじゃこりゃあああ!?」
独特すぎるメニュー名に頭を痛ませていると、ココアが千夜を呼んだ。
「今いい? 今日もういるんだよね?」
「ええ。今日からよ」
「今日?」
ハルトの疑問に、千夜は店の奥へ手を伸ばした。
「それでは、新人のご登場!」
千夜の合図で、店の奥から、彼女と同じデザインの着物を着た少女が現れた。
すらりと伸びた長身、長い髪を後頭部でまとめ、簪を刺している。
「紗夜さん?」
「こんにちは。松菜さん」
そこにいたのは、薄紫の和服に身を包んだ紗夜。名前も知らない花が無数に描かれた和服は、清楚な彼女にはよく似合っている。
何より。
彼女の右手には、もう包帯も令呪もない。
トレギアが、彼女の持つ魔力を全て吸収していったのだ。よって、今の紗夜は、マスターでもなければゲートでもない。
「紗夜さん、結局ここでバイト始めたんだ」
「はい。今日から、住み込みでお世話になります」
紗夜は静かにほほ笑んだ。
「日菜と、どうやって向き合うか……まだ分かりませんけど」
「けど?」
「少し……考えてみたいんです。これからの距離の取り方や、私なりの生き方を」
「……そっか……」
ハルトと紗夜の間に、沈黙が流れる。
ココアと千夜が二人の目線を
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