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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第六十話 衝突する魔導師
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機動六課の司令室で、アルトはアスカが行方不明になった現象のデータを繰り返し洗い直していた。
「重力特異点が発生して、その直後に次元震が発生……でも、その反応はごく僅か」
誰もいない司令室で独りデータをまとめているアルト。
「次元震の規模が小さすぎる。ルキノはよくこれを見つけたよね」
疲れた表情でアルトは呟いた。
極小規模の次元震が10とするならば、今回発生した次元震動は0.01くらいの規模だった。
だが次元漂流する場合に、次元震の大きさは関係ない。
次元の亀裂、その隙間に潜り込んでしまえば次元漂流してしまう。
「……重力特異点が発生する程の魔力に対して、空間湾曲と次元震が小さい」
さっきから、そこで行き詰まってしまうアルト。
ジュエルシードから出た魔力の激流は重力特異点を発生させた。にも関わらず、被害規模が小さすぎるのだ。
(……アスカが次元漂流するのは、これで2回目。子供の頃の漂流と今回の漂流で唯一同じ事は、次元震が殆ど無いと言う事。これは何を意味しているの?)
ここまでのデータでは、結局何も分からなかった。
キィ……
アルトはイスに身体を預ける。そして、ポツリと呟いた。
「……何で急にいなくなっちゃうんだよ……」
事故である事はアルトにも分かっている。だが、アルトの中にできた喪失感が、そんな愚痴をこぼさせた。
当たり前のようにいた仲間。
問題があった時に相談してくれて、ちょっとこじれた時に八つ当たりをしても許してくれて。
いつも信頼してくれて、信頼していた仲間。
この時、アルトは自分の中にある喪失感の原因を理解した。
「…………そうか………私は……アスカの事を……」
魔法少女リリカルなのは 前衛の守護者、始まります。
outside
深夜0時近く。フェイトは途方に暮れていた。
ジュエルシードの反応を感知して捜索を始めようとしたのだが、あまりにも弱々しい反応はすぐに消えてしまったのだ。
「困った……」
反応があった地域を調べていて、ジュエルシードがありそうな施設を見つけたまでは良かった。
「困った……」
その施設にジュエルシードがあるかどうかは分からないが、間違いなくその周辺で反応があったのだ。
「困った……」
闇夜の中、フェイトはどうしようかと、その綺麗な眉を八の字にしていた。
「……困った……」
眼下に写るその施設が何であるか、フェイトはそれを知っている。
忍び込むにも、まだ明かりがある所をみると人が働いている可能性もある。
そんな時に子供のフェイトがみつかればどうなるか、それは充分わかっているつもりだ。
「困った……」
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