第三百二十九話 冬のお庭でその七
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「けれどね」
「楽しんでですか」
「過ごすわ」
「そうですか」
「そうしていくわ」
こう僕に話してくれた、そして。
僕はお茶を飲むとエリザさんと別れて書斎に入った、するとそこにはジョーンさんがいて本を読んでいた。その本は。
「お寺の本読んでたんだ」
「お坊さんについて」
日本の仏教のそれについてだった。
「そうしていましたの」
「今日行くからなんだ」
「あの人に教えてもらいましたが」
それでもというのだ。
「自分でも学びたいと思いまして」
「それでなんだ」
「この本を読んでいましたの」
「そうだったんだね」
「そして読みますと」
僕に微笑んで話してくれた。
「面白いですね」
「お坊さんのこともだね」
「禅宗のお話ですが」
宗派はそちらだというのだ。
「読ませてもらいますと」
「面白いんだね」
「日本の仏教のこともわかります」
「それは何よりだね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「一つ思うことは」
それが何かも僕に話してくれた。
「世俗化していると言えば」
「もうお坊さんも社会の中にいるからね」
「そうですね、普通の人との距離が近いですね」
「普通に働いたりしてる人も多いよ」
中には大学で先生をしながらの人もいる、住職でもあって大学教授でもあってという立場の人である。
「だからね」
「距離が近いですか」
「その辺り牧師さんとは違うかな」
「働いている牧師さんもおられますが」
「日本のお坊さんとはなんだ」
「また違います、ですがその世俗化も」
これもというのだ。
「いいですね、そうしたものを観に」
「今夜はなんだ」
「あの人と行ってきます、そしてその次に」
「神社にだね」
「行ってきます、そちらの本も借りますね」
こう言って神社の本を手に取って。
ジョーンさんは自分のお部屋に行った、僕は谷崎潤一郎の本が目に入ったのでそれを手に取って席に座ると。
そこに井上さんが入って来て僕に言ってきた。
「谷崎か」
「はい、それ読んでいます」
「作品は吉野葛だな」
僕の読んでいる本のタイトルを見ても言ってきた。
「その作品はいいな」
「谷崎お好きですか」
「作品による」
井上さんは僕の隣の席に武者小路実篤の作品を手に取ってから僕にこう返した。
「それはな」
「そうですか」
「谷崎はきわどい作品もあるな」
「ですね、何かと」
耽美主義に入る人で事実そうした作品も多い。
「それで問題にもなってますし」
「発禁処分になったりな」
「国会で挙げられたり」
「何かとある、私はきわどい作品は苦手だからな」
それでというのだ。
「それでだ」
「そうした作品は苦手ですか」
「それで吉野葛や盲目物語が好きだ」
「じゃあそ
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