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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第97話:明かされる名前
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ともない。しかも彼は今、両腕を拘束されている為魔法も使えない。

 仕留めるならば、今!

「グレムリン、覚悟!」

 ここでグレムリンを仕留めるべく、ソーサラーはハルバードを振り下ろす。

 後ろからそれを見ていたマリアとセレナは勝利を確信した。

「行ける――!」
「そうだよ、姉さん。”ガルド君”が――」

「――――え? ガルド?」
「ッ!?!?」
「――――あはっ!」

 彼が勝てると思ったからか、セレナが徐に口にした1人の人物の名前。

 彼女がその名前を口にした瞬間、ソーサラーの体に緊張が走り動きが止まった。同時にグレムリンの口からは、何処か楽し気で、それでいて相手を嘲笑する様な嗤いが口から零れる。

 突然動きを止めたソーサラーに、マリアとセレナが注目していると突然彼の手からハルバードが落ちた。それと同時にグレムリンを拘束していた魔法の鎖が消える。

「え?」

 一体何がと思う間もなく、ソーサラーが胸を押さえて苦しみ始めた。

「うぐ、あ、がぁぁぁぁぁぁっ?!」
「何!? 何がッ!?」
「ガルド君ッ!?」
「セレナ、待って!?」

 苦しみその場に蹲るソーサラーにセレナが駆け寄る。自分も苦しい筈なのに、蹲ったソーサラーの背をセレナが擦った。

 セレナに介抱される中、ソーサラーの変身が解除された。仮面の下から現れたのは、マリアやセレナと程近い年齢に見える男性。その顔には酷い脂汗が浮いており、彼が受けている苦しみがどれほどなのかを伺わせた。

「何で? 一体どうしたの!?」

 セレナがソーサラー……否、ガルド・イアンを心配していると、2人の前にグレムリンが歩み寄っていた。彼はガルドの変身が解除された際に落ちた指輪の一つを拾い、しげしげと眺めながら口を開く。

「どうして? 白々しいな〜。君の所為なのに」
「え? それ、どう言う……」
「止せ、それ以上言うなッ!?」

 グレムリンの言葉にセレナがただでさえ悪い顔色を蒼褪めさせた。ガルドはそれ以上グレムリンに言わせまいとするが、グレムリンはお構いなしに言葉を続けた。

「実は彼にはね、一つの呪いを掛けてあるんだ。『本名を耳にしたらダメ』て言うね」
「――――え?」

 ソーサラーがマリア達と殆どコミュニケーションを取ってこなかったのはこれが理由だった。仮面をしていれば気付かれる事は殆どないだろうが、それでも些細な事からバレるかもしれない。だからこそ彼は、マリア達との接触とコミュニケーションを必要最低限に抑えていたのだ。

 本当はマリアや、取り分けセレナともっと触れ合いたかったにも拘わらず、彼はそれを自ら禁じていたのである。

「私……私の、所為? 私が、気付いちゃったから――――!?」

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