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イベリス
第二十話 ゴールデンウィークの予定その十二

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「無政府状態になり」
「世紀末な世界になりますね」
「そうした人の主張を聞けば」 
 そうなるというのだ。
「まさに」
「碌なものじゃないですね」
「そしてそんな人こそ無政府状態では生きられないです」
「そうなんですね」
「無政府状態では己の力と知恵が必要ですが」 
 法律がないならというのだ。
「ですがそうした人はです」
「どう見たって頭悪いですね」
「人並みの知恵、知能、分別、何もかもがです」
「ないですね」
「そしておおよそ悪い意味で頭でっかちで」
 知恵も知能も分別もないがというのだ、つまりおかしな知識だけ備えているというのだ。まさに最悪のケースである。
「そればかりで身体はです」
「貧弱ですか」
「そうと相場が決まっているので」
 それ故にというのだ。
「どのみちです」
「そうした社会では生きられないですが」
「真っ先に暴漢に襲われ」
 そうしてというのだ。
「命を落とします」
「そうなるんですね」
「そして誰からもです」
 死んでもというのだ。
「何も思われません」
「無様ですね」
「そうです、そうした人は無様です」
 速水はきっぱりと言い切った。
「自分は何かポリシーがある、格好いいと勘違いしていても」
「勘違いですね」
「その実はです」
「恰好悪くて」
「無様なのです」
「そうなんですね」
「小山さんはそうはなりたくないですね」 
 咲に目を向けて訪うた。
「絶対に」
「最低です」 
 これが咲の返事だった。
「ですから」
「そう思われるなら」
「思いやりとですね」
「思慮分別を備えて下さい」
「わかりました」
 速水のその問いに答えた。
「そうさせてもらいます」
「そうされて下さい。世の中そこまで愚かですと」
「存在価値もないんですね」
「そう言うしかないです」
 思いやりも思慮分別もないならというのだ。
「人の傷みも苦しみも悲しみもわからない、わかろうとしないなら」
「生きている価値もないですね」
「そう思いますので」
「権力に反対するしない以前ですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「権力に反対するなら何をしてもいいのか」
「そんな筈ないですね」
「では自分が殺されてみるか」
「そうした人は嫌がりますね」
「間違いなく自分だけ助かろうとします」
 そうした輩こそというのだ。
「他の人はどうなっても」
「そうですよね」
「自分だけは助かろうと」
 そう考えてというのだ。
「必死にです」
「逃げますか」
「あがき言い逃れや責任転嫁もし」
 そうしてというのだ。
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