艦娘と提督とスイーツと・79
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〜飛龍:カツ丼〜
「……何故俺は今、カツ丼を作っているのだろう?」
きっかけは飛龍の奴がホワイトデーのチケットを持ってきた事だ。
『いや〜、昨日飲み過ぎちゃって。朝ごはん食べ損ねちゃったんだよねぇ』
たはは……と申し訳なさそうに照れ笑いを浮かべながらチケットを差し出して来たのは覚えている。無論、俺も作ってやるのは吝かではない。朝飯替わりに腹に溜まるスイーツとなると、パンケーキとかもしくはお好み焼き・たこ焼きなんかの粉物辺りか?なんて考えていると
『カツ丼、よろしく!』
と満面の笑みで言われた。
「いやいやいやいや、どう考えてもおかしいだろ」
「ちょっと提督〜、手が止まってるよ手が!」
「うるせぇやい、この食欲ぶっ壊れ空母」
そもそもの話、オヤツにカツ丼食おうって発想がおかしい。カツ丼は飯だろ、普通に。
「え〜?だって間宮さんのトコだとオヤツの時間帯でも食べられるよ?カツ丼」
「バッカお前そりゃ、遠征で遅くなったりした奴なんかに食わせる用だろが」
日勤の奴は8時-5時の定時間労働なウチの鎮守府だが、3交代制でほぼ24時間、ひっきりなしに港は稼働していたりする。当然、そういう連中だって腹は減る。しかし、食堂は24時間営業という訳ではないし酒保や購買も運悪く品揃えが無いと食事にありつけなかったりする。そんな状況を憂いて、間宮のトコと鳳翔の店では甘味の提供時間帯でも簡単に作れる物や軽食位は出してくれているのだ。本当に頭が下がる。しかしこの食いしん坊空母は何を勘違いしたかオヤツ替わりに食っていたらしい。それもほぼ毎日。そら肉付きも良くなるわ。
「っと、カツは揚がったな」
とは言え、作る料理は手間は省いても手抜きはしないのが俺のポリシーだ。さっきから親子鍋では割下と玉ねぎがクツクツと音を立てているし、米も炊き上がっている。後は豚カツの油が切れたら一気に仕上げるだけだ。
「ん〜っ、良い匂いぃ〜」
目の前のカウンターでは匂いを嗅いで顔が緩んだ飛龍が、だる〜んとふにゃけている。脱力した顎を自分のその豊かな胸部のクッションに載せて、ふんふんと鼻歌を唄ってご機嫌だ。
「よっぽど好きなんだなぁ、カツ丼」
「違うよ提督、提督の料理だから好きなんだよ」
「そりゃ間宮さんトコのも、鳳翔さんのお店のも美味しいけど、何て言うのかな?こう……好きな相手の手料理ってだけで、もう幸せ〜!って気持ちになるのよね」
くそう、ガラにも無く可愛い事言いやがって。気恥ずかしいやら照れ臭いやらで顔が熱い。
「あ、赤くなってる〜w」
「うっせぇ!からかうとカツ丼出してやんねぇぞ!?」
「すんませんっしたぁ!」
どんだけ食い
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