暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
艦娘と提督とスイーツと・79
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たいんだよ、カツ丼。



「よし、油は切れたな……」

 ここからは一気に仕上げるぞ。カツをザクザクと一口大に切り、煮立っている親子鍋に投入。甘辛い割下を吸わせる。個人的に気を付けてるのは、煮過ぎない事。そうしないと、カツのサクサクの衣が残らない。割下を吸ってフワフワになった所と、サクサクの衣が混在してるのが好きなんだ。そこに溶き卵。カツにはかけないように周りにグルリと回しかける。これもカツの食感への配慮だ。卵はあくまでカツと玉ねぎを綴じて繋ぎ止める為の物。カツを黄色く染めるための物ではない。後は蓋をして10秒位煮たら、丼飯に盛り付けて完成。そこにお新香でも付けておけば良いだろう。

「ほらよ、カツ丼お待ち」

「待ってましたぁ、いっただっきま〜す!」

 飛龍は待ちかねた、と言わんばかりに箸でカツと卵、そして割下の染みたご飯を掬い上げてあ〜んと大きく開けた口の中に導く。そうしてリスみたいに頬を膨らませて、もっきゅもっきゅと噛み締めている。そしてゴクンと飲み込むと、

「ふへへ、おいひぃ」

 にへらっと笑み崩れた。

「しかし、ホントよく食うよなお前」

「私の胃袋は多聞丸譲りだからね!食べないと元気出ないし」

 多聞丸こと山口多聞提督か。優秀な指揮官だったと聞くが、大食いのエピソードも有名だわな。『大和』での会食で「美味いけど量が少ねぇ」と苦言を呈したとか、ツレと料亭で二人前頼んだ筈が四人前来て、返そうとしたら「俺が三人前食うんだ」と言ってペロリと平らげたとか。かなりの健啖家だったことが窺える。しかも大和の会食でのエピソードは、軍人向けの会食だったから普通のコース料理よりも量が多くしてあるにも関わらず、足りないと言った辺り相当なモンだ。

「まぁ、食事は身体作りの基本だからな。しっかり食え」

「へへへ〜、言われなくても食べますよ〜♪」

 そう言って飛龍はニコニコと笑顔のままでカツ丼を腹に納めていく。半分程平らげた所で、七味を大量投入して味を変える。あまじょっぱい割下の味に、七味のピリッとした辛味と様々な香りがプラスされて食欲を増進させる。最初からガツガツ食っていたが、七味パワーでスピードアップだ。暫くすると丼を口に押し当てて、掻き込む様に食べ始めた。もう中身が空に近いんだろうな。そうして、

「あ〜、美味しかったぁ」

 そう言って丼を置く飛龍。丼の中には米粒一つ残っていない。綺麗な食べっぷりだ。

「お粗末さん。ほれ、お茶」

「お〜っ、流石提督。気が利くぅ♪」

 飛龍はニコニコと笑いながら茶を啜り、残してあったお新香をポリポリやっている。

「あ〜……落ち着くぅ」

「けっ、あれだけ勢いよく食っといてよく言うぜ」

「でもさぁ提督、丼物ってお上品にちょこ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ