戦力分断
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二人に向かって放たれた爆弾魔水晶。それに街の人たちも気付いていたが、悲鳴をあげるよりも早くこの男が動いた。
「封印の氷地獄!!」
レオンが手を振るった途端に宙を待っていた爆弾が凍らされる。これにより街の危機は救われた・・・ように見えた。
「・・・う・・・」
しかし、そんな英雄に対して向けられたのは、歓声ではなかった。
「うわあああああ!!」
「黒い氷って・・・」
「こいつまさか・・・」
「「「「「ティオスか!?」」」」」
集まってきていた人々がレオンの魔法を見た途端に悲鳴をあげながら走り出す。彼らの発するその声でなぜあの青年が怒っていたのかわかった。彼はこの国をこのようにした元凶のティオスとレオンを見間違っているんだ。
「あぁ・・・なるほど、そういうことね」
そのことには当人もすぐに気付いた様子。かつて起きたであろう悲劇の再来になるのではと阿鼻叫喚になっている人々の中、先ほどの青年とその相方はレオンとシェリアを見て額に血管を浮かべている。
「そうか・・・こいつがティオスだったのか」
「そうだ。俺たちの家族も仲間もみんな殺した・・・」
大切な人をたくさん失ってしまったからなのだろう、先ほどまで懸命に荒ぶっている仲間を止めていたはずの青年も全く歯止めが効きそうな状況にない。でも、なんで最初にすれ違った時には彼しか反応しなかったんだ?
「いや・・・そういえば・・・」
ティオスは通常時は黒装束を着て顔を隠していた。理由は確か未来から来たことに気付かれて歴史を改変されるのを防ぐため。しかし、恐らく目の前の人物はその素顔を見ることができたのであろう。だから誰よりも早く反応し、莫大な被害が出かねない攻撃を仕掛けてきたのだ。
「これは・・・どうするべきか・・・」
レオンside
「こいつはどうするべきかな・・・」
「まずいよね、これ」
殺意剥き出してこちらを睨み付ける二人。この二人だけを倒すなら大した問題にはならない。しかし、厄介なのは後ろの方だ。
「闇ギルドの奴らが集まってきているんだよな・・・」
俺をティオスと勘違いしてから、一度は距離を取ったみたいだけど、それは仲間を集めるためだったらしい。既に先程よりも遥かに多い人数が集まってきており、かなりの重労働になるのは目に見えていた。
「それもだけど、一般市民を傷つけちゃったら元も子もないよ」
シェリアの冷静な突っ込みに納得する。彼らは依頼を出した一般市民側の人間。それなのに、その人たちを傷つけてしまったら依頼の意味がない。おまけに、彼らは未来の俺たちが出してしまった犠牲者なのだ。そう考えると、手を出すのは
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