モカの目的
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだ。
「行かなきゃって、どこへ?」
「お姉ちゃん……」
モカは、そのままココアの前に回り、道を塞ぐ。
「どいてお姉ちゃん」
「だめ」
ココアの語気は当然のごとく強くなっていくが、モカもまた引けを取らない。
「どうしてココアがいかなければならないの!?」
「だって私は……」
ココアはエボルトラスターを見下ろした。
今の人類では作ることが出来ない、神秘の結晶。それは、ココアを急かすように緑の宝石を点滅させている。
それを胸に握りながら、ココアは言った。
「私にしかできないことがあるから。私がやらなきゃいけないことがあるから!」
「今、ここが危険だってことは、ココアだって分かるでしょ!」
モカが指差すのは、戦場。
ウィザード、龍騎、トレギア、ファウスト、メフィスト。どれ一つとして名前など知る由もないが、どれが味方なのかは何となく判別がつく。
「今の私達は、まずこの会場から逃げ出さないといけないんだよ? きっと外には助けも来ていると思うけど、今は自分たちで……」
「ココア」
すると、モカは広げた手を下ろした。
熱いライブ会場の中、モカだけは、とても冷めているように思えた。
「ココア。本当はね。私、ココアを連れ戻しに来たんだよ」
モカのその言葉に、ココアは言葉を失った。
「どうして? お姉ちゃん」
「分かるでしょ。今の見滝原は危険すぎるからだよ」
その声色は、どこか冷たく、ココアにのしかかった。
「この頃、見滝原には変なことばっかり起こっている。それはココアだって知ってるでしょ?」
「うん……」
モカは、一つずつ、苦しそうに呟いた。
「火災、ガス事故、局所的な地震、爆発……見滝原全体で、いつからか謎の事故が起き続けている」
「それは……」
「それに、それは去年の暮れからどんどん酷くなってる」
モカは続ける。
「去年の十月。チノちゃんの中学校なんでしょ? 原因不明のあれ」
ココアもよく覚えている。十月のある日、チノが通う見滝原中学が、謎の世界に変貌し、生徒二人が犠牲になった。あの日、帰ってきたときにそれを知り、チノの無事を知るまでココアの寿命が縮んだ。
「十一月。アマゾン事件は、この町の病院が発生源でしょ」
それは、チノが入院していた病院からの出来事。そこに設置されている水を飲んだ者が、食人生物、アマゾンへ変貌する。チノもその水を飲んだので、彼女もまた怪物になる危険性があり、実際ラビットハウスでもそれが起こり、窓が破れたのもその時だった。
「それに先月。ムー大陸の復活は世界中で騒がれてたけど、その中心にあったのは、やっぱり見滝原だった」
「……」
ココアは否定でき
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ