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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
王者の風格
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こえるほどの驚いた声。無情にも定位置にいれば真っ正面だった打球はレフト線を転々とし、一塁ランナーの大山さんは快速を飛ばして三塁を陥れていた。
「ナイスバッチ!!」
「イエーイ!!」
笠井さんも二塁に難なく到達しておりあっという間にノーアウト二、三塁。続いて打席に入る選手を見て、思わず目を見開いてしまった。
「なんかふ……大きくない?」
「今太ってるって言おうとしたでしょ?」
図星を突かれて苦笑いする。でもそう思っちゃうでしょ?前の二人が細身だったからってこともあるけど、今打席にいる左打者は明らかに大きい。身長もそれなりにあるんだろうけど、幅が大きすぎてそちらにばかり印象を持っていかれる。
「確かにびっくりするけど、背番号見るともっとびっくりするよ?」
「「「「「え?」」」」」
紗枝に言われるがままに彼女の背番号を見た後、スコアボードでポジションを確認する。その数字はどちらも8となっており、彼女がセンターにいることに驚いた。
「鈴川さんはあの身体で脚も速いのよ」
とてもそうは見えないけど、瑞姫が言うのならそうなんだろう。そう思いながら見ていると、彼女の不思議な構えにまた驚かされる。
「え?バント?」
「でも構えはバッティングじゃない?」
通常、バッティングの時は両手を揃えて構える。しかし、鈴川さんは両手を離した構え方をしており、バントのようにも見える形から、バットはしっかりとトップの位置にある。
「鈴川さんはパワーがあるからね。あれでスイングの軌道を安定させて、打率も高めているの」
セオリーからは外れているけど、それを可能にするだけのパワーがあるらしい。その言葉通り、内角の厳しいボールを彼女はライト側に高く打ち上げた。
上がりすぎた打球にライトは楽々追い付いたものの、この距離ではランナーを刺すことはできない。二人のランナーは楽々次の塁に進み、あっさりと先制する。
「そしてスター揃いの選手たちを纏めているのがこの人。キャプテンの
大河原瞳
(
オオカワラヒトミ
)
さん」
「4番でキャッチャーでキャプテン。まさしくチームの大黒柱よ」
さっきの鈴川さんから見ると小柄に見えるお姫様カットの少女。大和撫子という言葉が相応しいような容姿の彼女は、右打席に入る。
カキーンッ
決して甘くはないスライダー。彼女はそれを華麗に流し、打球は右中間を破っていく。
「鈴川さんホントに脚速い!!」
「大河原さんも速っ!!」
笠井さんは悠々ホームに帰ってくると、後ろの二人も猛スピードでダイヤモンドを駆けていく。ようやくセンターが追い付いてボールを返すが、ボールをキャッチャーが捕球する頃には、一塁ランナーの鈴川さんは生還しており、大河原さんもその間に三塁を陥れていた。
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