第9節「ガングニール、再び」
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がこじ開けられ、無防備になった心臓部へと、マリアは素早く烈槍を突き立てた。
……突き立てられた、筈だった。
穂先はガリィに突き刺さる寸前で、先程よりも小さく、強固な結界に阻まれていたのだ。
「な──ッ!?」
「頭でも、冷やしゃぁぁぁぁぁッ!」
烈槍を受け止めた結界は徐々に広がり、次の瞬間、鋭い氷柱が勢いよくマリアを突き飛ばした。
「ううあッ!?……ッ、く」
空中で何とか体勢を整え、無事に着地するマリア。
だが、その全身には依然、バチバチと紫電が走っている。
「決めた、ガリィの相手はあんたよッ!」
「くッ……」
「いっただっきま〜すッ!」
マリアに狙いを定めたガリィは地面を凍らせ、次の瞬間には眼前に迫っていた。
あまりの素早さに、カラコロと鳴るオルゴール音は不協和音を耳に届け、一瞬で懐に入った自動人形は氷の刃を手にコンバーターを狙う。
「させるかッ!!」
だが、氷の刃が貫いたのはマリアのガングニールではなかった。
間に割って入って来たのは銀色の流星。
無敵の盾を手に疾走する、アキレウスの伴装者だった。
「純ッ!!」
「邪魔すんじゃ……ねぇッ!」
咄嗟に割り込んだ純のガード。しかし、ガリィはそれさえも対応して見せた。
攻撃方法を氷刃での刺突からではなく、斬り上げへと素早く変更し、純の防御を一瞬で崩す。
「く……ッ!?」
純の盾が手を離れ、宙を舞う。
そしてガリィは、無防備になった純へと氷刃を振り下ろす。
咄嗟に防御姿勢を取る純。だが、ガリィの狙いはただ一点、左手首のブレスだった。
「あはッ!」
「しまった……ッ!?」
ブレスがひび割れ、ガリィがほくそ笑む。
RN式アキレウスのプロテクターが力を失い、スーツから色が失われていった。
「クソッ……やっちまった……」
膝を着く純。その身に纏っていた鎧は、大英雄の鎧ではなく、ただの特殊合金プロテクターへと戻っていた。
「とんだ邪魔が入ったケド、今度こそ──」
ガリィが再びマリアの方を向いた、その時だった。
「がぁッ!?」
「……は?」
突如としてガングニールが砕け散り、マリアは地面に膝を着いた。
ガリィは何もしておらず、周囲に敵影もない。
そしてなにより、マリアの衣服は元のままであった。
ただ、両目と口角から血を流している……という点を除いて。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
ギアの強制解除。つまり、時間切れである。
これ以上はバックファイアに身体が耐えきれないため、システムが自動でギアを解除させたのだ。
獲物を失い、ガリィは不機嫌さを顕にした表情で、マリアと響を交互に一瞥する。
「……何よこれ。まともに唄える奴が
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ