第9節「ガングニール、再び」
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……まさか、響か!?
ff
「……なんで……聖詠が浮かばないんだ……」
何度も唄おうと口を開く響だが、いつもは胸に浮かぶ聖詠が、何故か一向に浮かんでこない。
「どういう事だ……!?」
「まさか、響は……」
「翔、何か知ってるのかよ!?」
「…………」
翔には心当たりがあるようだが、純の質問には答えない。
問い詰めようとした純だったが、今はそれどころでは無い。
ノイズに周囲を囲まれ、しかも背には生身の友人たちがいる。
戦うより先に、彼らを逃がさなくてはならない。
(ギアを纏えないこいつと戦ったところで意味は無い……。ここは試しに、仲良しこよしを粉と挽いてみるべきか……)
ガリィが口元に下卑た笑みを浮かべた、その時だった。
「あー、まどろっこしいなッ!」
「……?」
詩織がドスの効いた声と共に、遊歩道をガッと踏みつけた。
突然の発言に、ガリィを含めたその場にいる全員の視線が詩織へと集まる。
「あんたと立花がどんな関係か知らンけど、ダラダラやンのなら、あたしら巻き込まないでくれる?」
普段からは想像もつかない、低くドスの効いた声でしゃべり続ける詩織。
その粗暴な言葉遣いと不良のような態度、腰に手を当てた佇まい。そしてあまりにも自分本位な発言に、彼女をターゲットである響の友人だと認識していたガリィは困惑する。
「……お前、こいつの仲間じゃないのか?」
「冗談ッ!たまたま帰り道が同じだけ。そうだろ、野郎ども」
そう言って詩織は、男子の方に目を向ける。
その目を見て、恭一郎は慌てて答えた。
「……そうだそうだ!テラジの姐さんの言う通りだぞ!」
「君らのヒーローごっこに付き合ってられるほど、僕らも暇じゃない。巻き込まないでくれる?」
「これから塾なんだ。退いてくれるかな?」
恭一郎に続く形で流星、飛鳥も続ける。
その姿は、少なくともガリィから見れば、他人がどうなろうと自分に関係の無い事からは逃げたがる一般人の姿に見えた。
「ほら、道を開けなよ」
「……ッ」
仲のいい友人を襲えば響もその気になるだろう、と踏んでいたガリィだったが、相手がそこまで仲のいいわけでもないただのクラスメイトなら話は別だ。手にかけたところで、目的を果たす事は敵わない。
もしも、彼女が受けた命令が、ただシンフォギア装者を襲うだけなら、こうはいかなかっただろう。
悔しげに歯噛みしながら、ガリィはアルカ・ノイズを下がらせ、包囲を開けさせる。
その直後だった。
「今ですッ!」
「アラホラサッサー!」
「ビッキー、行くよッ!」
創世が響の手を引いて、一同は戦える翔と純だけを置いて全速力で走り出したのである。
「な……」
「行くぞ
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